『 哲学・論理学研究 (1)』―学的論文確立の過程的構造
悠季真理 著
哲学は、古代ギリシャのアリストテレス以来、学の王とも言われてきたように、全ての学問の頂点に立って、それらを統括する学であり、あらゆる個別分野の問題に対しても、一般科学レベルから、筋道を通して解決への指針を示すものである。
こうした哲学の本質的な研究を 志すのであれば、単に過去の哲学書の解釈などに留まるべきでなく、全ての学問領域を対象として、それらを統括すべく、自身の頭脳を哲学ができる頭脳として創出する研鑽を積むべきである。
本書は、従来の哲学の研究・解説書等とは一線を画し、自らの頭脳を学問化可能なものとする実践について、すなわち、学問構築のための基盤づくりのあり方について、説いた書である。
端的には、学問を志す初学者へ向けた、学問上達論 ・ 基礎編である。
【第1巻】
■ 現代社白鳳選書107
■ 第1版/2015年/200頁/定価 1,700円 (税別)
■ 四六判/ISBN 978-4-87474-169-6
目次
■第1編 学的世界観から成る哲学の構築を目指して
第1章 学的世界観について
第1節 学的世界観としての 「唯物論を自ら創り出せる」 とはいかなることか
第2節 物の実体と機能との区別をつけることの大事性
第3節 学的世界観から説く世界歴史とは
第4節 アリストテレスは学的世界観をふまえてどのように説くべきか
第5節 金属とは何かを分かるためには、地球の歴史を知らなければならない
第6節 研究会で説かれる学的世界観とは
第2章 学問体系を創っていくとは
第1節 体系とは何か、ヘーゲルの System との学的論理の違いについて考える
第2節 シェリング、ヘーゲルについて思うこと
第3節 概論化への労苦ということの意味・意義を考える
第4節 『新・頭脳の科学』 について、現代の哲学の停滞について
第5節 学問化とは事実の像から論理の像への発展である
――事実の像と論理の像の相違
第3章 学の体系化への出発点に立つために ――古代ギリシャ考
第1節 滅ぼし合う対立物の統一とは、「過程の体系性」 の統一である
第2節 学的レベルで思弁するとはどういうことか
第3節 究明の方法そのものを問うていくアリストテレス
――問いかけ的認識の深まり
第4節 「形而上学」 のそもそもの語源について
第5節 『形而上学』 Α巻を読み直しての気づき
第6節 時代性をふまえてアリストテレスを位置づける
第7節 古代ギリシャでは自然の究明が主であったということの意義を説く
第8節 アリストテレスの説く 「自然」 とヘーゲルの説く 「自然」 について
第9節 アリストテレスのウーシアを実体と解することの誤謬
■第2編 古代ギリシャ哲学、その学び方への招待 〔前編〕
第1章 古代ギリシャのフィロソフィアとは
第1節 日本語での 「哲学」 の意味と元の原語の意味
第2節 これまでギリシャの学問はどのように把握されていたのか
第3節 古代ギリシャという時代性の理解
――スコレー (閑暇) が生まれることによる認識の発展
第4節 フィロソフィア (知を愛する) とはどういうことか (プラトン対話編より)
第5節 フィロソフィアへ至る原初的段階 ――ヘラクレイトス
第2章 学問化への原点たるパルメニデス、ゼノンを説く
第1節 ヘーゲルはパルメニデス、ゼノンをどのように評価しているか
第2節 パルメニデスの生きた時代と社会について
第3節 エレアの大政治家パルメニデスとその高弟ゼノン
第4節 アリストテレスによるパルメニデスの記述
第5節 パルメニデスの学問的実力とは
第6節 パルメニデスの実力養成の過程とは (プラトン 『法律』 より)
第7節 ゼノンのパラドクスの出てくる所以とその意味するもの
第3章 古代ギリシャにおける対話の始まりとその実態
第1節 ギリシャ哲学を生み出したポリス社会とは
第2節 古代ギリシャにおける対話とはいかなるものであったか
(1) ソクラテスとニコマキデスとの対話 (クセノフォン 『回想録』 より)
(2) ソクラテスとペリクレスの息子との対話 (クセノフォン 『回想録』 より)
(3) ソクラテスとエウテュフロンとの対話 (プラトン 『エウテュフロン』 より)
第4章 ソクラテスの対話から視てとれる、ソクラテスの認識のレベルとは
第1節 従来の哲学界でのソクラテスの評価
第2節 ソクラテスまでの時代とソクラテスの生涯
(1) ディモクラティア (いわゆる民主制) とは?
(2) 民の統治の術としての弁論の発達
(3) ソクラテスの生涯
第3節 ソクラテスの対話の実態
(1) ソフィスト批判
(2) 物事の共通性に着目できるようになる過程とは
(3) 論理もどき (?) 像形成への過程