自然死を創る終末期ケア―高齢者の最期を地域で看取る

川上嘉明 著 現在のわが国では、多くの高齢者が病院で死を迎えている。医療機関である病院が 高齢者の終末期に提供する医療は、 おもに生命の維持を第一とした延命治療である。 しかし、終末期にある高齢者に対して こうした病院での治療だけが、かならずしも絶対的な対処方法ではないはずである。 すくなくとも 高齢者の終末期と、その看取りとを考えるとき、かぎりある生命における死の必然を厳粛に受け入れて、死にゆく高齢者の自然な生命過程に耳を澄ませつつ、不自然に過度な治療によって 死への自然な経過を損なわない という、いわばその死をできるだけ穏やかで、自然な死に近づけていくような、そのようなケアの視点もまた必要なのではないだろうか。 本書は、看護師として人の死をみつめた病院での勤務を経て、高齢者の介護および 福祉事業に従事してきた著者が 、とくに人生の終末とも重なる高齢者の死について、どのようなケアが提供できるか 著わしたものである。 ■現代社白鳳選書27 ■ 第1版/2008年/四六判/176頁 ■ 定価 1,600円 (税別) ■ ISBN 978-4-87474-131-3

目次

■第1章 看護教育における看護技の習得の過程性・構造性を問う 第1節 看護者としての観察力の訓練の大切さを指摘しているナイチンゲール 第2節 看護するために観察することの意味を事例から説く 第3節 個別性に即した看護の実力はすべて観察力の養成にかかっている 第4節 看護技の習得の過程性 ―― 看護者の優れた観察力はどのようにして身につけられるか 第5節 「看護技一般の上達過程の構造」 を示す 第6節 「看護とは何か」 の一般論に導かれての看護技の習得の過程性・構造性 ■第2章 看護教育における看護者としての目的意識性を問う 第1節 看護者としての目的意識性が看護者としての成長につながる 第2節 ナイチンゲールの説く看護者としての教育・訓練の必要性・大事性 第3節 ナイチンゲールの説く看護を学ぶ者としての姿勢とは 第4節 看護者として自分自身を統率することの大事性を指摘したナイチンゲール 第5節 ナイチンゲールが目指した当時の看護教育改革の厳しい現実 第6節 ナイチンゲールが創り上げた看護教育の原点 第7節 現代において看護教育の原点とその意義を問うことの意味 第8節 教育における 「目的意識性」 の意味を問う 第9節 看護者になりたいという目的意識性を目的意識的に捉え返すことの重要性 ■第3章 看護教育において目的意識性を目的意識的に捉え返すことの意義を問う 第1節 教育・訓練の意義と必要性を説いたナイチンゲール 第2節 看護者として目的意識性を目的意識的に捉え返すとはどういうことか 第3節 そもそも 「人間は目的意識的な存在である」 とはどういうことか 第4節 人間は必ず行動の前に目的的に問いかけている (認識=像を形成している) とは 第5節 人間の目的意識性を目的意識的に捉え返すということの意義 第6節 看護者としてより見事な将来像を描けるための認識の過程性 第7節 目的意識性の質の違い・論理の違いを具体例で考える 第8節 ナイチンゲールが捉えていた看護者としての 「目的意識性」 とは 第9節 看護者として 「真剣な目的を持つこと」 を求めていたナイチンゲール ■第4章 ナイチンゲールの説く 「真の看護とは何か」 に導かれた実践を問う 第1節 看護者として学び続ける姿勢のあり方 第2節 ナイチンゲールが 『看護覚え書』 に説いてきた看護の要点 第3節 看護者の看護の視点と実践のあり方が対象者の生き死にに関わる 第4節 ナイチンゲールの説く病とは何か、看護とは何か 第5節 ナイチンゲールの説く 「良い看護を構成する真の要素」 とは 第6節 ナイチンゲールの説く正しい看護の知識と実践とは 第7節 すべての人が健康の法則を理解し実践することを目指していたナイチンゲール 第8節 ナイチンゲールが説く 「真の看護」 とはを知ろう 第9節 ナイチンゲールの説く看護者たる実力をつける訓練の必要性とその覚悟 ■第5章 地域看護教育において求められる看護者の育児支援の視点を問う 第1節 看護者の視点が子どもの健康に及ぼす影響を視る 第2節 ナイチンゲールの指摘する 「世話をする人間の管理の心構え」 とは 第3節 事例から 「世話をする人間の管理の心構え」 とは何かを説く 第4節 期待される母親像に近づこうと懸命に努力してきたNさんの心情 第5節 対象者が抱える本当の育児上の不安を引き出す看護者の姿勢を説く 第6節 子どもの成長発達を支える親の育ちを支援する看護者の取り組み 第7節 地域看護において求められる看護者の育児支援の視点とは ■第6章 ナイチンゲールの説く 「健康への看護」 に学ぶ 第1節 子どもの健康な成長発達を支える看護者の役割 第2節 ナイチンゲールの説く 「健康への看護」 とは 第3節 健康になるための学びとその実践が重要であると指摘したナイチンゲール 第4節 育児相談の事例から看護者による支援の必要性を説く 第5節 育児上の課題を看護者はどのようにみてとることが求められるのか 第6節 「健康への看護」 は現代の育児支援において欠かせない意義を持つ ■第7章 地域における育児支援の実践を認識論の実力の必要性から問う 第1節 家庭での健康を守る看護の重要性を指摘したナイチンゲールの意図 第2節 認識論の実力から育児支援の必要性を問う視点 第3節 母親の生活過程の現実から支援のあり方を問う視点 第4節 ナイチンゲールの説く健康教育の意義とその成果とは 第5節 対象との継続的な支援関係を創り上げるためには 第6節 対象の生活過程や語りの中に相手の認識=像を描くヒントがある ■第8章 ナイチンゲール看護論を現代の地域看護教育に活かす視点を問う 第1節 ナイチンゲールが 『看護覚え書』 を著した目的とは 第2節 ナイチンゲールの看護の視点を地域における看護に活かした事例を説く 第3節 ナイチンゲールの説く 「看護とは何か」 に導かれた支援の実際 第4節 看護の視点から症状や苦痛を看るとはどういうことか ――事例から考えるナイチンゲール看護の視点 第5節 家庭における療養生活を整える看護の力 第6節 ナイチンゲールの教えを地域看護に活かすための視点とは ■第9章 ナイチンゲールの説く 「看護師とは何か」 に学ぶ 第1節 ナイチンゲールの説く看護者に求められる能力とは 第2節 看護師は対象の表情に現われた変化からその認識を読み取ることが求められる 第3節 病む人の認識を読み取り看護することが重要であると指摘するナイチンゲール 第4節 看護する人と看護される人とが互いに分かり合っているという関係性 第5節 観察をしない看護師は看護者としての何の経験にもなりえない 第6節 看護師としての経験を積み重ねるとはどういうことか 第7節 ナイチンゲールの説く看護師が持つべき使命感とは 第8節 使命感を持つ看護師と使命感を持たない看護師との違いを視よう 第9節 ナイチンゲールの説く 「良い看護師」 とは 第10節 看護師としての人間観、生活観、看護観を把持することの重要性