『障害児教育の方法論を問う(1)』 ―人間一般から説く科学的障害児教育

志垣司・北嶋淳 著

障害児教育の世界に画期的な理論書が誕生した。
本書の上梓を著者らが決意した動機は、障害児教育が今日まで経験的実技レベルの教育指導にとどまってきた結果、教育現場に先の見えない混乱が続いていたからである。
著者らは長く障害児教育の実践家として活躍してきたが、いつしか教師としての自分たちの教育のあり方に疑問を持つようになった。
それは障害児教育に指針となる確固たる理論がないゆえに、自らが実践している指導方法を評価する術がなく、また指導で生じた疑問を解くための拠り所もないために、次第に行き詰っていったからであった。
これまでの経験則的な障害児教育に限界を覚え、障害児教育を正しく導いてくれる理論の必要を感じていた著者らは、学問の広い世界との出会いによって、障害児教育の理論化への道を歩むことになる。
そして艱難辛苦の幾年の後、ようやくその一般的方法論をここに確立し得、理論化の端緒に立つことができたのである。
「人間とは何か」「教育とは何か」「障害とは何か」など、障害児教育にかかわる大本を一般論として据え、そこから障害児教育の真のあり方を問う本書は、きっとかつての著者たちと同じように、障害児の教育方法に迷い悩む多くの人達の導きの糸になるであろう。

■現代社白鳳選書 39
【第1巻】  第1版/2014年/224頁/定価 1,800円 (税別)
四六判/ISBN 978-4-87474-160-3

目次

・推薦の言葉  瀬江千史
・推薦の言葉  本田克也

【 第1編 】 障害児教育とは何か

第1章 障害児教育の現状と問題点 ―― 大本を忘れた障害児教育

第1節 理念と現実の隔たりの中で
第2節 専門性とは、専門家とは何か
第3節 一般論を把持した障害児教育の必要性を説く

第2章 「人間とは何か」 「教育とは何か」 を問う

第1節 人間とは何か、人間の育ちとは何か
第2節 教育とは何か

第3章 人間が障害を負うとはどういうことか

第1節 障害とは何か
第2節 障害の二重構造を説く

第4章 障害児教育とは何か

第1節 障害児教育の歴史的事実
第2節 障害児教育とは何か
1. 障害児教育の一般論を説く
2. 「自立活動」 とは何か
3. 「自立活動」 と 「機能訓練」 との違いを一般論から説く

【 第2編 】 障害児教育の科学的実践方法論とは何か

第1章 科学的実践方法論への道

第2章 障害児教育実践方法論の構築過程を説く (1) ―― 一般論を導きだすまで

第1節 教育実践を説くことを通して科学的実践方法論構築の端緒を説く
1. 視知覚異常と言われている子供達に起こっていること
2. 科学的実践方法論の端緒を説く
第2節 教育実践を説くことを通して構造に入ることを説く
1. 運動障害を持つ子供達に起こっていること
2. 構造に入るとはどういうことかを説く

第3章 障害児教育実践方法論の構築過程を説く (2) ―― 一般論を立ててから

第1節 教育実践を説くことを通して一般論の有効性を説く
1. 集団力に働きかけた事例を 「障害一般・障害児教育一般」 から問う
2. 一般論を立てるとどのように教育が違ってくるのかを説く
第2節 教育実践を通して障害児教育の全体像を明らかにしていく
1. 母親へ働きかけた事例を一般論から説く
2. 障害児教育の科学的実践方法論の全体像を説く

【 第3編 】 科学的実践方法論から説くサリバンによるヘレン・ケラーへの教育

第1章 障害児教育の原点を問う (1)
サリバンによるヘレン・ケラーへの教育の構造 (1)
―― 奇跡を起こさせたものとは何か

第1節 サリバンの教育を取りあげる意義
第2節 サリバンによるヘレンへの教育の事実
1. ヘレンの障害とその育ち方
2. サリバンによるヘレンへの教育
第3節 サリバンの教育を障害児教育一般論から問う
1. ヘレンの障害を 「障害の二重構造」 から説く
2. ヘレンの育ちの可能性を見抜いたサリバンの視点
3. サリバンの教育を障害児教育一般から説く
4. サリバンの教育は障害児教育の原点である

第2章 障害児教育の原点を問う (2)
サリバンによるヘレン・ケラーへの教育の構造 (2)
―― サリバンの教育の事実をもとに障害児教育の構造を説く

第1節 再度サリバンの教育を取りあげる意味
第2節 ヘレンの育ちとサリバンの教育の事実を問う
1. サリバンに出会う前のヘレンとサリバンの教育を受けた後のヘレンの変化
2. サリバンの教育の構造を説く
第3節 サリバンの教育の事実をもとに障害児教育の構造を説く