初学者のための『看護覚え書』(第2巻)―看護の現在をナイチンゲールの原点に問う
神庭純子 著
ナイチンゲールが看護の原点を著した 『看護覚え書』 は、看護学生であれば誰もが最初に出会う看護の基本書であるが、看護を学びはじめた初学者がこの著作をどう読めば、真にナイチンゲールの言葉を理解することにつながるのであろうか。
本書は、初学者が 『看護覚え書』 に書かれている言葉を その言葉のままに読むのではなく、その言葉からナイチンゲールの 「ものの見方」 や 「考え方」を読み取り 学ぶことで、現代の看護に関わる現実を見てとる能力や そこから課題を見出す能力、そして論理的に それら課題に対応できる実力を培えるように、と説かれている。
時代が変わっても 決して変わることのない、看護としての基本的なものの見方、考え方を、ナイチンゲールの説いた言葉から学び取り、看護者としての自己を創りあげ、成長させる基礎力を身につけるのに本書が、そのよい手助けとなるであろう。
■現代社白鳳選書33
【第2巻】 第1版/2011年/224頁/定価 1,800円 (税別)
四六判/ISBN 978-4-87474-144-3
目次
■第1章 ナイチンゲールに学ぶ 「病む人にとっての食事を整える」 とは
第1節 食物の形状と食べさせ方の工夫が看護として必要である
第2節 病む人の生命力の消耗を最小にする工夫への配慮の必要性
第3節 食事を整えることは看護者の重要な役割である
第4節 看護における食事の大事性をつかんだナイチンゲールの実践とは
■第2章 ナイチンゲールの説く 「食物の選択」 に学ぶ
第1節 ナイチンゲールの言葉は知識ではなく自分の体験を重ねて理解する
ことが必要である
第2節 病む人に適した食事の内容とは
第3節 病む人の回復にとって必要な栄養とは
第4節 適切な食事内容は病む人を観察することによってのみ知ることができる
■第3章 「人間にとって食事とは何か」 を問う
第1節 病の回復過程にある人の食事を整えることは看護の重要な柱である
第2節 人間にとっての食事とは何か
―病へいたる過程に目を向けることが必要である
第3節 人間にとっての食を考えるには生命体としての一般性から問うことが
大切である
第4節 人間にとっての食とは何かを 「いのちの歴史」 に尋ねる
第5節 認識を持つ人間ゆえの食生活の歪み
■第4章 看護のための食に関する学びの過程
第1節 家政学的基盤から看護を追究する視点
第2節 人間にとって食物を摂るということの意味とは
第3節 「いのちの歴史」 のイメージ像を図として描いた意味
第4節 「地球そのもの」 を摂り入れるとは ―「いのち」 の過程の重層構造
第5節 人間の成長・発達段階に見合った食事のあり方
第6節 看護として 「食事」 を整えることの意味を問う視点
■第5章 ナイチンゲールの説く 「換気と保温」 に学ぶ
第1節 『看護覚え書』 の真意を理解するには弁証法的に読み取る実力が
必要である
第2節 弁証法は 「自然・社会・精神の一般的な運動に関する科学」 であるとは
第3節 ナイチンゲールの説く看護にとっての 「換気と保温」 の重要性
第4節 ナイチンゲールが 「換気と保温」 の大事性を強調する理由
―当時の病院の現実から
第5節 ナイチンゲールの説く 「換気する」 ということの意味
第6節 「換気と保温」 の両立を図ることこそ必要であるとの指摘
■第6章 「人間にとって新鮮な空気とは何か」 を問う
第1節 ナイチンゲールの時代の 「換気と保温」 に関わる問題
第2節 患者が呼吸する空気の質に目を向けることが看護として大事な視点
である
第3節 病気とは何か、看護とは何かの一般論をふまえての 「換気と保温」 の
大事性
第4節 人間にとって呼吸するとはどういうことか
第5節 夜間の人間の体の生理構造をふまえての呼吸の意味
第6節 人間にとっての新鮮な空気とは何かを 「いのちの歴史」 に尋ねる
第7節 「自然の法則」 から病む人にとっての 「空気」 をとらえていた
ナイチンゲール
■第7章 看護として 「住居の健康」 を整えるとはどういうことかを問う
第1節 ナイチンゲールの説く 「住居の健康」 を守る5つの基本的な要点
第2節 不健康な住居のあり方が病気をもたらす現実
第3節 病気の予防や回復のために 「住居の健康」 の管理が重要である
第4節 人間にとっての 「住居」 とは何か
第5節 人間にとっての住居の意味を 「いのちの歴史」 に尋ねる
第6節 「住居の健康」 を社会との関係性からとらえる
第7節 「住居の健康」 を守ることが求められる看護の現実
■第8章 認識論の学びの基礎から 「物音」 の意味を問う
第1節 病む人に害を与える物音とはどういうものか
第2節 不必要な話し声や物音が病む人の生命力を消耗させる
第3節 会話が病む人の認識を不安定にする事例
第4節 聴覚からの刺激が病む人の認識に与える影響
第5節 認識への問いかけができる看護者になるためには
第6節 「認識は像であり、しかも五感情像である」 とは
第7節 ナイチンゲールが指摘する病む人に害を与える物音
■第9章 「変化」 させることの大事性を認識論の基本から説く
第1節 病む人の心に働きかける看護の実力をつけるためには
第2節 ナイチンゲールの説く 「変化」 の重要性
第3節 「認識=像=感情像である」 とは
第4節 「外界の反映」 と 「内界の反映」
―その重層的な合成像としての 「感情像」
第5節 病む人の認識とはどういうものか
第6節 病む人の思いを理解するために
第7節 ナイチンゲールの説く病む人の認識に 「変化」 をもたらすこととは
第8節 病床の花が病む人の心の 「変化」 を創りだす
■第10章 看護のために必要な 「観念的二重化」 の実力
第1節 看護として病む人の認識を整えることの大事性
第2節 ナイチンゲールの説く 「おせっかいな励まし」 がもたらす影響
第3節 ナイチンゲールの説く病む人に害を及ぼす 「忠告」
第4節 「おせっかいな励ましや忠告」 がなぜ病む人に悪影響を及ぼすか
第5節 「相手の立場に立つ」 とは
―観念的二重化の実力を養成することの重要性
第6節 観念的二重化とは何か ―「自分の自分化から自分の他人化へ」
第7節 病む人の認識を整える実力をつけるにはその過程を特別に訓練する
ことである
■第11章 「ベッドと寝具類」 を整えることの看護としての意味を問う
第1節 病む人の認識を整えていくことが求められる看護
第2節 ナイチンゲールの説く 「ベッドと寝具類」 を看護として整えることの
重要性
第3節 病気とは何かから 「ベッドと寝具類」 を整える意味を説いていた
ナイチンゲール
第4節 病む人の寝具類を整えることの重要性を現代の看護の事例に見る
第5節 家庭での療養生活を整える看護とはを事例から説く
第6節 なぜ寝具類を看護として整えることが大事であるか
第7節 寝具類を看護として整えることを人間の睡眠過程の意味から説く
第8節 人間にとっての睡眠の過程を看護として整えることの意味