初学者のための『看護覚え書』(第1巻)―看護の現在をナイチンゲールの原点に問う

神庭純子 著

ナイチンゲールが看護の原点を著した 『看護覚え書』 は、看護学生であれば誰もが最初に出会う看護の基本書であるが、看護を学びはじめた初学者がこの著作をどう読めば、真にナイチンゲールの言葉を理解することにつながるのであろうか。
本書は、初学者が 『看護覚え書』 に書かれている言葉を その言葉のままに読むのではなく、その言葉からナイチンゲールの 「ものの見方」 や 「考え方」を読み取り 学ぶことで、現代の看護に関わる現実を見てとる能力や そこから課題を見出す能力、そして論理的に それら課題に対応できる実力を培えるように、と説かれている。
時代が変わっても 決して変わることのない、看護としての基本的なものの見方、考え方を、ナイチンゲールの説いた言葉から学び取り、看護者としての自己を創りあげ、成長させる基礎力を身につけるのに本書が、そのよい手助けとなるであろう。

■現代社白鳳選書30
【第1巻】  第1版/2010年/200頁/定価 1,800円 (税別)
四六判/ISBN 978-4-87474-140-5

目次

■第1章 『看護覚え書』 に学ぶということ

第1節 見事な看護師になるための実力とは
第2節 初学者にとって 『看護覚え書』 に学ぶことが必要である理由
第3節 『看護覚え書』 を読めるための実力とは
第4節 生活の 「過程性」 を見ていたナイチンゲールの実力

■第2章 看護のために必要な弁証法の実力

第1節 「看護とは何か」 を問う実力をつけるために
第2節 病むにいたる過程性は生活の中にある
第3節 弁証法とはどういうものか
第4節 見事な看護の実力をつけるためになぜ弁証法の学びが必要なのか
第5節 看護にとって 「変化」(の過程) をつくりだすことが重要である
第6節 『看護覚え書』 を読み取る初学者の目的意識

■第3章 看護のために必要な認識論の実力

第1節 見事な看護の実力をつけるためになぜ認識についての学びが必要なのか
第2節 看護のために必要な 「認識とは何か」
第3節 認識とは 「像」 であることを理解するための一事例
第4節 看護のために必要な 「認識論とは何か」 をイメージ像から理解する
第5節 ナイチンゲールの説く 「認識論」 の実力の重要性

■第4章 看護のために必要な一般教養の実力

第1節 病む人の心に寄り添うことができる看護の実力を身につけるために
第2節 個性としての認識(感情)に近づく看護を
第3節 人類としての認識の発展過程を学ぶためには 「いのちの歴史」 の学びを
第4節 見事な看護の実力をつけるためになぜ一般教養が必要なのか
第5節 看護者になるためには人間の生活の一般像を学ぶ必要がある

■第5章 ナイチンゲールの説く 「健康の法則=看護の法則」 とは

第1節 看護者に求められる一般教養の学び
第2節 ナイチンゲールの説く 「健康の法則=看護の法則」 を理解するための一事例
第3節 育児相談での看護者の認識の過程的構造
第4節 ナイチンゲールの説く 「健康を守る看護」
第5節 生命の法則、健康の法則を学ぶことを重要視しているナイチンゲール
第6節 健康の法則についての体系的な指導が現代こそ求められている

■第6章 看護教育に必要な学びの体系性を問う

第1節 小児救急医療・看護における現代の課題
第2節 ナイチンゲールの時代の小児医療・看護の課題と誤った解決策
第3節 課題の解決策の導き方の誤りは現代でも論理的には同じである
第4節 体系的とはどういうことか
第5節 看護教育における体系の必要性
第6節 『看護覚え書』 の全体像を体系的に読み取る

■第7章 看護のために必要な一般論の学びの過程

第1節 看護の体系性と教育の体系性
第2節 『看護覚え書』 の体系性を一事例から具体的に理解する
第3節 事例での関わりにおける看護者の認識の過程的構造
第4節 ナイチンゲールの 「病気の一般論」 から事例を説く
第5節 人間一般論を指針として事例を説く

■補 章  ナイチンゲールの学問(看護学)形成の内実を青春時代に見る
―その青春時代はギリシャ哲学の風に導かれて