『 新版 ナイチンゲール看護論・入門 』―『 看護覚え書 』を現代の視点で読む

金井一薫 著

本書は、初版本 『ナイチンゲール看護論・入門 ―看護であるものとないものを見わける眼』では明示できなかった“『看護覚え書』を現代の視点で構造化して読む”という視点を導入したことで、ナイチンゲール思想の真髄をより分かりやすく浮き彫りにしています。
また、ナイチンゲールの病気のとらえ方 = 病気とは回復過程であるというテーマを、現代の生命科学の知見をふんだんに取り入れて解説することによって、ナイチンゲール思想に新たな光を照らし、彼女の思想の斬新さをよりクッキリと描いています。
ナイチンゲール思想は、決して古びた思想ではありません。
超少子高齢化時代の看護・介護のあり方と、人類のこれからの健康を志向していくときに、大いなる道標となる生命感あふれる思想です。
それは人間と生活を重視し、大切に守り育てるという思想を根底に宿しており、時代が変わっても変わらないものの見方を示しています。

■ 現代社白鳳選書 48
■ 第1版/2019年/四六判/280頁
■ 定価 1,700円 (税別) ■ ISBN 978-4-87474-186-3

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目次

【第1講】 『看護覚え書』 を読む前に知っておきたい3つのテーマ

1 偏っていた日本の 「ナイチンゲール像」
2 第一版から第三版まで出版された3つの 『看護覚え書』
3 『看護覚え書』 が書かれた時代背景
(1) 産業革命による社会構造の変化と、人々の暮らし
(2) 当時の病院と看護師
(3) 『看護覚え書』 とクリミア戦争体験

【第2講】 「タイトル」 に注目し、「はじめに」 を読む

1 「サブタイトル」 にみる、ナイチンゲールの意図
2 看護の担い手は誰か?
3 看護の視点と医学の視点は異なる

【第3講】 「序章」 を読み解く ――人類初の看護の定義

1 「看護とは何か」 が明らかになる
2 「病気とは回復過程である」 を解く
3 体内ではたらく 「回復過程」 の具体的な姿
(1) 細胞にはたらく回復過程の姿
(2) 細胞の健康を支える内部環境 ――ホメオスタシスという概念
(3) ホメオダイナミクスと高次ネットワーク

【第4講】 《免疫》 が担う治癒力と看護

1 免疫という世界をイメージする
2 免疫細胞の種類と住処
3 免疫細胞のはたらき ――人体の防護機能
4 「がん」 にもはたらく免疫系
5 精神免疫学と看護
6 脳機能の回復を助ける免疫細胞
7 腸内細菌と免疫力

【第5講】 「看護であるもの」 を実現する ――5つのものさしの活用

1 回復過程 (自然治癒力の発動) を支える看護
2 人間社会と生命の維持機構
3 生命の維持機構を支える暮らしの原点とは
4 《5つのものさし》 を活用し、《看護であるもの》 を実践する
5 ものさしを使った実践例

【第6講】 「第一章」 からの 《各論》 を現代の視点で読み解く

1 第一章 「換気と保温」 ―― 《空気の質》 に気を遣うこと
2 第二章 「住居の健康」 ――人間の住居は 《溜め込みの装置》
3 第三章 「小管理」 ――自分自身を拡大する技術
(1) 看護部門の独立と自立
(2) 看護管理者に求められるもの
① 総看護師長 (看護部長) の存在感
② 看護師長の役割と看護の質
4 第四章 「物音」 ――生命体に害となる条件・状況
5 第五章 「変化」 ――生命力の幅を広げる援助
6 第六章 「食事」 ――どのように食べさせるか
7 第七章 「食物の選択」 ――何を、どう選ぶべきか
8 第八章 「ベッドと寝具類」 ――人間だけが寝床で寝る生物
9 第九章 「陽光」 ――陽光は自然治癒力を高める
10 第十章 「部屋と壁の清潔」 ――看護の基本は清潔の保持
11 第十一章 「からだの清潔」 ――皮膚は第三の脳
12 第十二章 「おせっかいな励ましと忠告」
――消耗を呼ぶ会話と元気を生む会話
13 第十三章 「病人の観察」 ――「看護過程展開」 の基礎技術

【第7講】 「おわりに」 と 「補章」 を読む

1 「おわりに」 (Conclusion) の章で看護の本質を再確認する
(1) 当時流行していた素人療法の追放について
(2) 看護の本質について
2 「補章」 の価値
(1) 「看護師とは何か」 を読む
(2) 「回復期」 を読む
3 「赤ん坊の世話」

【 付録 】 『ナイチンゲールの生涯』 を読む