『 人間ひとりひとり 』―現象学的精神病理学入門
J.H.ヴァン・デン・ベルク 著 早坂泰次郎・田中一彦 訳
ひとりの人間を理解するとは どういうことであろうか。
本書は、一般の精神病理学のテキストのような 症候の列挙や 症候群の要約、そして一般的疾病の記述はいっさいなされていない。
ただひとりの患者を克明に観察し追うことによって、「その固有な存在」を浮きぼりにし、「人間存在」そのものに迫っている。
それは「科学(看護)は観察から始まる」ということを 見事に実証するものであるといえるだろう。
■ 現代社白鳳選書 6
■ 第1版/1976年/四六判/232頁
■ 定価 1,800円 (税別) ■ ISBN 978-4-87474-057-6
目次
第1章 ほぼすべての患者の主訴が提起する諸問題
1.精神科医を訪ねたある患者
2.患者の訴え
世界/からだ/他の人びと(との関係)/過去と将来
3.問題の分析
さまざまの投影/転換/転移/神話化/無意識的なもの
第2章 〔以上の問い〕への諸解答
1.人間と世界
2.人間とからだ
3.人となかま、コミュニケーション
4.人間と時間 ―生活史
第3章 精神病理学、孤独に関する科学
歴史的概要 ―関連文献の要約