『南郷継正 武道哲学 著作・講義全集(第3巻)』―ヘーゲル哲学・論理学 〔学の体系講義・新世紀編〕

『全集』は、武道哲学・武道科学創始者である南郷氏の人生の集大成として発刊されるものである。

南郷氏は、「武道講義」を日本文化の高みに置くことを願って、学問中の学問である哲学という学問レベルで説くために、学問としての哲学をほぼ完成させたヘーゲルを目標に研鑽を重ねた結果、ヘーゲルのような観念論の立場ではなく、唯物論の立場で、哲学を現実的な学問に近づけるという目標の高みにほぼ達することができた。

すべての書の題名に「武道」という文字が冠してあるが、内容は単なる武道論・技術論・上達論・教育論等々の展開にとどまらず、それ以上に、武道の後に続く「哲学」や「科学」を学問レベルで説くことにも主眼が置かれている。

【第3巻】
限定版/2020年/392頁/定価 4,500円 (税別)
A5判/上製本(ケース入)/ISBN 978-4-87474-188-7

目次

■ 読者への挨拶

■ ヘーゲル哲学・論理学 〔学の体系講義・新世紀編〕

【 第1編 】 哲学・論理学とは何か ― 哲学・論理学 学の体系講義

第1章 哲学とは何か ― 哲学 学の体系を説く

第1節 哲学の原点であるフィロソフィア誕生の秘密を説く

(1) 哲学が本格の学問になるために
(2) カントの説く 「啓蒙」、ヘーゲルの説く 「教養」 とは何か
(3) 「哲学とは何か」 を分かるには、必ずその原点から学ぶべきである
(4) ヘーゲルは哲学史をその原点から説こうと修学した
(5) ヘーゲルはプラトンの問答を 「滅ぼし合う対立するものたちの統一」 だとした
(6) 合宿生活での互いの闘論は学的な頭脳を形成する
(7) アリストテレスは 「滅ぼし合う対立するものたちの統一」 を一人で実践できた
(8) 古代ギリシャの哲学 (学問) は森羅万象をまず知ることであった

第2節 哲学の形成過程の骨子は何か

(1) 哲学の復興に貢献した中世のトマス・アクィナス
(2) カントの実績は二律背反だけなのになぜカントの評価は高いのか
(3) アリストテレスからデカルト、カント、シェリング、ヘーゲルへの哲学を見る
(4) 哲学は体系化でようやく学問になると、ヘーゲルは説く
(5) 哲学を構築するには哲学の形成過程の歴史を辿る必要がある
(6) 哲学とは学問を総括し、それを統括したものである
(7) 哲学の歴史を学ぶとは、自分の頭脳上で歴史上の哲学者その人になること
(8) 学問を構築するとは自らが学問の山岳を築きながら登っていくことである
(9) ヘーゲルの内実を読みとれないヘーゲル研究者の現実
(10) 『精神現象学 序論』 の内実を読み解くには
(11) シェリングと相対した哲学問答で形成した 『精神現象学 序論』 の内実
(12) 弁証法的唯物論と唯物論的弁証法の二大概念から 「絶対精神」 の構造は分かる
(13) ヘーゲルの 「絶対精神の自己運動とは何か」 を説く

第2章 論理学とは何か ― 論理学 学の体系を説く

第1節 哲学の生成の流れで論理の必然性が生じる

(1) デカルト、カント、シェリング、ヘーゲルの説く論理学とは
(2) 学問は素朴な一般性を、現象的論理と捉えることから始まる
(3) 概念は生成発展する対象の構造をふまえて、形成される
(4) 哲学は学問体系を求めたが、それは直接に弁証法の発展でもあった
(5) 哲学は本質的一般論をふまえ、諸学問を駆使することが本命である

第2節 概念化ができるようになるための頭脳力の養成過程を説く

(1) 学問を志すにはまず唯物論が分からなければならない
(2) 思弁的学力により形而上学は形成されていく
(3) 本物の唯物論はモノの生成発展を説かなければならない
(4) 思弁的学力を養成してこそ概念化が可能になっていく
(5) 人類はアリストテレスに至って初めて思弁力への道の端緒に就いた
(6) 思弁とは対象とする事実を論理化する過程を思惟する実力である

【 第2編 】 弁証学・認識学とは何か ― 弁証学・認識学 学の体系講義

第1章 弁証学とは何か ― 弁証学 学の体系を説く

第1節 弁証法の学びへのプロローグ

(1) 秀才たちの弁証法の学び
(2) 弁証法の学びを 「物語」 的に説く

第2節 世界の重層構造が見てとれるようになるための弁証法とは何か

(1) 学的弁証法修得の道を説く
(2) 世界は一体的全体から生成発展してきている重層的な過程の複合体である
(3) 学問が体系化されるために必須の弁証法とはいかなるものか
(4) 学問形成のためには、弁証法を二重構造性で学ぶことが必須である
(5) 弁証法の成立過程から見えてくる弁証法の歴史性、構造性

第3節 学的弁証法の構造を説く

(1) 自然の弁証法性から社会及び精神の弁証法性へが、正常過程である
(2) 弁証法 (変化法・運動法) の構造を説けば
(3) 弁証法的な論理をモノにできる頭脳の働きが必要である

第2章 認識学とは何か ― 認識学 学の体系を説く

第1節 外界を論理的に把持する頭脳を養成する道程を説く

(1) 認識学の基本的な構造を説く
(2) 学問の構築にはまず外界を反映させ像を描く修練が必要である
(3) 学問構築にはまともな思弁力が必須だが、そこには弁証法が絡む
(4) 学問は時代の学的認識が成熟すると、その完結を求めるようになる
(5) 学問は時代が成熟して形成されてこそ次の時代の発展をもたらす
(6) ヘーゲルの 『大論理学』 には論理の体系は存在していない
(7) 人類は事実を頭脳の中で映像化し、その映像を言語化して歴史を創ってきた
(8) 言葉は事実の概念化であり、認識論・論理学の基本である

第2節 認識学の原点を像の生生・生成過程として説く

(1) 思うとは変化する頭脳像を止め、止めた頭脳像を、見つめることである
(2) 見続け溜めた像を動かし (考え)、それが筋道となった時に推論という
(3) 学問構築にはまず到達点を持つことが必要である
(4) 思弁を分かるにはまず、アリストテレスの 「思う」 を実践することである
(5) 「思う」 を思弁へと発展させてこそ、学的論理体系たる形而上学となる

第3節 学的認識の発展過程の構造を説く

(1) アリストテレスの学的認識は形而上学を創出するにはまだ幼かった
(2) アリストテレスは表象レベルの像形成への途上であった
(3) ヘーゲルは形而上学は思惟ではなく論理で創るべきだとした
(4) 思弁的像を弁証法的に言語化してこそ学的な概念化が可能となる