『南郷継正 武道哲学 著作・講義全集(第12巻)』―武道哲学各論Ⅳ

『全集』は、武道哲学・武道科学創始者である南郷氏の人生の集大成として発刊されるものである。

南郷氏は、「武道講義」を日本文化の高みに置くことを願って、学問中の学問である哲学という学問レベルで説くために、学問としての哲学をほぼ完成させたヘーゲルを目標に研鑽を重ねた結果、ヘーゲルのような観念論の立場ではなく、唯物論の立場で、哲学を現実的な学問に近づけるという目標の高みにほぼ達することができた。

すべての書の題名に「武道」という文字が冠してあるが、内容は単なる武道論・技術論・上達論・教育論等々の展開にとどまらず、それ以上に、武道の後に続く「哲学」や「科学」を学問レベルで説くことにも主眼が置かれている。

【第12巻】
限定版/2012年/368頁/定価 4,500円 (税別)
A5判/上製本(ケース入)/ISBN 978-4-87474-146-7

目次

■ 『全集』 の読者への挨拶 9

■ 新版 武道と弁証法の理論

【 序の編 】 『学苑 アテナ・ミネルヴァ 』 への道

序の章1 『学苑 アテナ・ミネルヴァ 』
〔1〕 大学基礎講座を解説する
〔2〕 学問形成に関わる 「論理学基本用語 五十」 とその簡単な解説

序の章2 学問形成のための 「弁証法とはどういうものか」
〔1〕 の (1) 「弁証法とはどういうものか」 を講義する
〔1〕 の (2) 弁証法という学問における 「運動」 とは何かを講義する
〔2〕 「 『弁証法はどういう科学か』 を読む」 を読者に
〔3〕 「中岡 孝 『社会科学読本 自然・人間・社会』 (牧書房)を読む」 を読者に

序の章3 現代の 「哲学」 を問う 1
〔1〕 現代哲学の説く 「哲学」 とはいかなるものか
〔2〕 現代哲学の巨匠ヤスパースの実力を説く
〔3〕 現代哲学の実力を問う
〔4〕 出 隆 (イデ タカシ) 『哲学以前』 に問う

序の章4 現代の 「哲学」 を問う 2
〔1〕 ヤスパース・出 隆 再び
〔2〕 哲学の原点と称されるものとは何か
〔3〕 現代哲学の説く 「驚駭 (キョウガイ) 」 とは何か
〔4〕 学的レベルの哲学的 「驚駭」 を説く

【 第1編 】 弁証法の学びは 「学問と事物一般」 措定への道程である

第1章 万物 (森羅万象) は変化するからこそ、弁証法 (変化法) なのである
〔1〕 万物 (森羅万象) は流転する (ヘラクレイトスの文言 〔発言〕 とされるもの)
〔2〕 “運動”としての武道・武術を説く
〔3〕 弁証法 (変化法・運動法) の構造を説く

第2章 対立 (物) の統一の具体性を説く
〔1〕 一定の諸性質の発見とは
〔2〕 その本質は運動性、矛盾性にある
〔3〕 個別技 (形而上学性) の誕生を説く

第3章 弁証法無視の武道空手技の欠陥
〔1〕 個別技 (形而上学性) 誕生の代償とは何かを問う
〔2〕 「弁証法的」 とは何か、「形而上学的」 とは何か
〔3〕 形而上学的 「基本」 の捉え方を問う
〔4〕 武道空手の 「基本」 の悲劇を説く

【 第2編 】 武道体・運動体の論理を学的に把握するには

第1章 弁証法的論理能力の養成を培うとは
〔1〕 武道体・運動体究明の論理構造を説く
〔2〕 実体の習得と論理の修得について説く
〔3〕 偏食・偏問いの構造を説く
〔4〕 論理能力育成に青春時代を

第2章 弁証法の学び 再び
〔1〕 弁証法の学びを再び説く
〔2〕 桃太郎の繰り返しの弁証法性とは何かを説く
〔3〕 教育論 ―知識偏重の欠陥を説く
〔4〕 私の弁証法への歩みを語る

第3章 「論理的実力への歩み」 詳説
〔1〕 「桃太郎の繰り返し」 と三つ子の魂の関係
〔2〕 認識の量質転化、その二重構造を説く
〔3〕 認識論としての三つ子の魂を説く

【 第3編 】 青春時代の思想性の意義とは

第1章 等身大の思想を排す
〔1〕 人間の存在は精神的から始まるのである
〔2〕 青春時代の育ち方について一言
〔3〕 イメージトレーニングと量質転化の法則を説く
〔4〕 目的的イメージと大志との関わり

第2章 歴史性ある武道・武術への渇望
〔1〕 誇りを抱いてこそ人間である
〔2〕 歴史性と労働を説く
〔3〕 高き思想は高き文体に
〔4〕 認識の魂への道・私のいわゆる 「魂の書」 について

第3章 青春と 「人生、意気に感ず」
〔1〕 「人生、意気に感ず」 を問う
〔2〕 遥かなるわが高校生に
〔3〕 思想の高みと対立物の統一について
〔4〕 人生の教師、一つ二つを最後に……