『 なんごう つぐまさが説く 看護学科・心理学科学生への“夢”講義(3)』―看護と武道の認識論

南郷継正 著

本書には、自分のことはもとより、自分のこと(問題)より他人のこと(問題)により深く関わっていくことを専門に人生を切り開いていくはずの、看護学科・心理学科の学生たち(さらに武道への道を志す若者)に的を絞り、青春時代の人生問題・社会問題を解決して生きていけるような能力(頭脳活動=アタマとココロのはたらき)が育つことを願って、頭脳活動を中心とした人間とはなにかを50年以上にわたって研究してきた著者が、認識論の立場から夢の活動についてはもちろんのこと、頭の働きをより見事にする学び方について体系的に説いてある。

本シリーズは、季刊 『綜合看護』 に連載中のものを単行本としていくものである。

■現代社白鳳選書 28
【第3巻】  第1版/2009年/256頁/定価 1,600円 (税別)
四六判/ISBN 978-4-87474-134-4

目次

【 第1編 】 生理学から説く「夢とはなにか」

第1章 認識の発展の過程的構造を脳から説く

第1節 “夢”講義は、みなさんそれぞれの夢の実現のためにこそ
第2節 人間の脳には大きな二つのはたらきがある
第3節 認識は五感覚器官・脳の成長との相互規定性で発展する

第2章 夢の解明に必要な「昼間の生理学」と「夜間の生理学」を説く

第1節 夢は睡眠中に脳が勝手に描くものである
第2節 脳自体の統括の二つのはたらきとは
第3節 脳の統括は当然に弁証法性をもつ
第4節 活動している「昼間の生理学」と休息している「夜間の生理学」

第3章 労働と睡眠の関係を説く

第1節 人間の睡眠は労働による疲労の回復のためである
第2節 学問的に説く労働とはなにか
第3節 「疲れ」と「疲労」は違うものである
第4節 「疲労」は哺乳類としての運動からの逸脱による

【 第2編 】 生理学から説く「思春期の論理構造」

第1章 「心の闇」を認識論的に説く

第1節 「心の闇」がおこした事件
第2節 「心の闇」は赤ん坊の頃から育つ
第3節 他人にも自分にもみえない育ちのゆがみ

第2章 「心の闇」を脳の生理構造から説く

第1節 脳は反映した像を自分流に発展させる実力をもっている
第2節 思春期の脳の特殊性
第3節 生活環境の違いで脳の創られかたが違ってくる
第4節 思春期の脳への「ネット社会」の影響
第5節 「狂想」へと転化させる思春期の脳
第6節 心のゆがみは「心の教育」だけでは治せない

【 第3編 】 学問的に「夢とはなにか」を説くための礎石

第1章 夢の学問的な解明に必須の過程を説く

第1節 観念論の立場では夢の学問的解明は不可能である
第2節 夢を唯物論的に説くには脳の解明が必須である
第3節 「いのちの歴史」から説く人間の認識への発展過程
第4節 人間の認識=像は外界の反映と相対的独立に発展する
第5節 脳は神経を介して労働と睡眠の異なった統括をする

第2章 学問的でない夢の専門家の実力を説く

第1節 夢に関する専門家の見解を問う
第2節 人類の歴史的な文化を学ぶことなしに夢は説けない
第3節 夢の解明は脳が夢を描かされる過程的構造を説くことである
第4節 『“夢”講義』感想文―夢を学問的に説くとはいかなることか

第3章 夢に関わって人間の脳の統括の過程的構造を説く

第1節 人間の脳の統括は四重構造の性質をもつ
第2節 労働により日々ゆがめられる人間の体と「ツボ健康法」を問う
第3節 「ツボ」「経絡」に関する専門家の見解を問う
第4節 「ツボ」「経絡」は動物体と人間体の相克により誕生したものである
第5節 労働の過程的構造に夢の問題を解く鍵がある

【 第4編 】 学問に必須の「認識論」「弁証法」とその上達の構造を説く

第1章 認識論における海保静子の業績を説く

第1節 認識論の理論的実践家としての海保静子
第2節 認識論は弁証法とともに学問成立に必須のものである
第3節 恩師三浦つとむの認識論の内実を問う
第4節 認識の問題が解けない三浦つとむの認識論
第5節 海保静子に「認識とは何か」の像の展開を学ぶ

第2章 講義録「弁証法の上達の構造を問う」

第1節 学問としての弁証法が技化した頭脳による「目次」立てを説く
第2節 学問構築に必要な大志・野望は空想的認識の一種である
第3節 学問構築には対象の全体像の把握と弁証法の学びが必須である
第4節 歴史上弁証法の全体像を提示できた学者はいない
第5節 弁証法の実力をつける過程的構造を説く
第6節 弁証法は脳の実体が量質転化するまで学ばなければならない
第7節 「弁証法の上達の構造」における落とし穴とはなにか

【 第5編 】 看護の夢の事例を「いのちの歴史」から解く

第1章 人間が夢をみるに至る発達・教育の過程を説く

第1節 辛い夢をみる事例
第2節 上達に必須の「量質転化」の構造を説く
第3節 サルにおける「問いかけ的認識」の芽ばえとはなにか
第4節 人間における外界の直接の反映は誕生時のみである
第5節 人間は外界を勝手に描く能力を教育されながら育ってくる
第6節 外界を反映する神経系のはたらきは労働のありかたで異なる

第2章 赤ちゃんの夜泣きと夢の過程的構造を説く

第1節 夜泣きは夢をみる実力をつけたことから始まる
第2節 辛い夢を理解するために必要なことはなにか
第3節 夜泣きは発育途上の脳の実力をこえた外界の反映による
第4節 夜泣きを防ぐ赤ちゃんの睡眠中の育てかたを説く
第5節 夜泣きと辛い夢との関係への解答

第3章 夢の事例を脳の神経と認識の統括から説く

第1節 足のウラの鍛錬は頭脳活動を活発にする
第2節 脳が誕生する魚類への生命体の運動形態の発展過程を説く
第3節 魚類の脳は四重構造の統括をするために誕生したのである
第4節 人間の脳は認識活動の統括をも行なうのである
第5節 辛い夢をみる患者の実体と認識に働きかけた見事な看護を説く

目次

【 第1編 】 初学者に説く「弁証法とはなにか」

第1章 「弁証法とはなにか」を弁証法的に説く

第1節 弁証法とはなにか
第2節 弁証法の対象は世界全体(森羅万象)である
第3節 弁証法の起源は古代ギリシャの学問形成過程にある
第4節 弁証法という名は歴史的な意味をもっている
第5節 弁証法と弁証術の違いを説く

第2章 弁証法の学びかたを説く

第1節 弁証法に必要な自然・社会・精神の学び
第2節 弁証法の具体的な学びかた

【 第2編 】 弁証法的に説く「夢とはなにか」

第1章 「いのちの歴史」から説く夢をみる実力への過程

第1節 頭脳活動の本体は脳全体である
第2節 再び、看護学生からの手紙について
第3節 「夢とはなにか」の問いかたを問う
第4節 魚類から両生類への脳の実体としての実力の発展
第5節 サル(猿類)における問いかけ的認識の芽ばえ
第6節 夢は睡眠中に脳が勝手に描いている像である

第2章 夢にかかわって「労働とはなにか」を問う

第1節 労働の結果は哲学用語「疎外」として説かれている
第2節 人間は労働することによって必ず「疎外」される存在である
第3節 労働とは目的をもって対象にはたらきかける行為である

第3章 夢へといたる認識の発展過程を説く

第1節 夢は脳が勝手に描いている認識=像の一つである
第2節 認識=像形成の原点は外界と五感器官にある
第3節 認識=像は脳のなかで創りかえられる
第4節 人間は教育されて外界を勝手気ままに描く実力をつける

【 第3編 】 看護の事例から「夢とはなにか」を説く

第1章 看護にかかわっての「痛みとはなにか」を説く

第1節 再び、夢にうなされる事例を説く
第2節 痛みは神経の重要なはたらきの一つである
第3節 運動させなければ治らない神経の痛みがある
第4節 患者の痛みを見事にやわらげた看護の技とは

第2章 神経と夢のかかわりを説く

第1節 神経のはたらきが夢を描かせる事例
第2節 看護の視点から、夢にうなされる事例を読み解く

【 第4編 】 学問的に説く「夢とはなにか」序論

第1章 夢を学問的に解明するとは

第1節 唯物論の立場からしか夢は解明できない
第2節 赤ちゃんの夜泣きの構造と夢にうなされる構造
第3節 人間にとって夢は必然性である
第4節 問いかけ的認識の誕生が夢の大本である
第5節 人間の神経のはたらきは昼間と夜間とで異なる
第6節 学問書は体系的に説かなければならない
第7節 夢に関する学問的でない書物の一例

第2章 夢にかかわる人間の生理構造を説く

第1節 人間は労働によって特殊な生理構造をもつにいたる
第2節 過程的構造の解明に弁証法は必須である
第3節 人間は立つことにより脳のはたらきに変化が生じる
第4節 人間は労働により質的に違った像を形成するにいたる
第5節 人間にとっての睡眠とはなにか
第6節 呼吸とはなにかから解く「睡眠時無呼吸症候群」

【 第5編 】 看護への夢を実現するために

第1章 看護に重要なこととはなにか

第1節 すべてを看護の問題として
第2節 観念的二重化の実力が看護の見事な実力となる

第2章 「看護技術論」の柱を説く

第1節 そもそも技とはなにか
第2節 看護技術は実体・認識への技である