『看護学と医学(下)』―医学原論入門

瀨江千史 著

本来、学問としての医学を説くならば、医学とは何かの原点ないしは本質、すなわち原論ないしは本質論から説くのが筋である。

しかし、現代の医学界はその原論あるいは本質論を忘れ去っているようである。

医学原論とは、医学の本質レベルの一般性を、論理的体系性をふまえて、理論体系として、簡単には一般性をふまえながら、現象論・構造論として再構築しながら学問レベルで説くものである。

つまり、これさえわかれば医学体系すなわち現象論・構造論・本質論がわかるという、医学体系の要となる理論であり、本書はその入門書である。

■ 第1版/2001年/四六判/上製本/440頁
■ 定価 3,800円 (税別) ■ ISBN 978-4-87474-103-0

目次

【第1編】 医学体系と医療実践

■ 第1章 医療実践としての診断とは何か

第1節 現実の診断はどのように行われているか
第2節 『内科診断学』にみる「診断とは何か」の誤り
第3節 『内科診断学』を学んだ医師が行なう診断の限界
第4節 科学的な診断とは本来どうあるべきか

■ 第2章 病態論不在の医療実践の現実

第1節 病気への過程をみない診断はなぜだめなのか
第2節 経験主義的な高血圧治療への不安
第3節 対症療法としての解熱治療のこわさ
第4節 アトピー性皮膚炎治療の現場における大混乱
第5節 学会を二分しての夜尿症についての大論争
第6節 科学的「夜尿症一般論」はどのようにして構築されたのか
第7節 「夜尿症一般論」を指針として具体的事例を解く

【第2編】 看護実践と医療実践

■ 第1章 看護実践と医療実践の関係

第1節 看護と医療はなぜ協力しあわなければならないのか
第2節 看護と医療の協力の必要性を具体的事例にみる

■ 第2章 医療実践に求められるもの

第1節 医師にもっとも求められるものは本当に「医の心」か
第2節 医学生への手紙 ―名医になるための医学生の本来の学びとは
第3節 現代医学教育に欠けているもの(1)
第4節 現代医学教育に欠けているもの(2)

【第3編】 看護学の構造と医学の構造

■ 第1章 学問体系としての看護学と医学

第1節 科学的医学体系の構造を提示する
第2節 科学的学問体系はどのように構築されるのか
第3節 看護学と医学の構造論はなぜ違うのか
第4節 医学が看護学から受けた学問的恩恵
第5節 看護学と医学の人間論の視点の違い

■ 第2章 科学的医学の先駆者、ベルナールを問う

第1節 なぜベルナールを問うのか
第2節 『実験医学序説』を問う
第3節 『実験病理学』を問う
第4節 『科学的学問体系』からベルナールの業績を問う
第5節 ベルナールの「実験医学」から、あらたな「科学的医学体系」へ

■ 第3章 科学的学問体系の発展