
タイトル : 介護とは何か ―いのちのしくみに基づくケア―
著者 : 金井 一薫
■ 第1版/2026年7月10日発刊/菊版/216頁
■ 定価 3,400円 (税別) ■ ISBN: 978-4-87474-211-9
■電子教科書取り扱い:医書ジェーピー, 丸善, NTT EDX(準備中)
内容紹介
“介護を世の光に!”──その願いを込めて、本書をすべての介護者に贈ります。
介護には、「なぜそうするのか」という理由があります。
食事を介助することにも、身体を清潔に保つことにも、声をかけることにも、一つひとつ意味があります。
その理由を理解すると、介護は単なる「作業」ではなく、人の人生を支える専門職としてのケアへと変わります。
本書は、「介護とは何か」という原点を、できるだけわかりやすく解き明かした一冊です。
介護には技術だけでなく、「なぜそのケアが必要なのか」を理解することが欠かせません。
その答えは、人間の「いのちのしくみ」の中にあります。
人はどのように生き、病気になり、回復し、年を重ねていくのでしょうか。
本書では、生命の誕生から人体のしくみ、病気や老化の意味、そして人間らしく生きるとはどういうことかまでを、介護の視点からやさしく解説しています。
著者が最も伝えたいのは、介護とは単に生活のお世話をすることではなく、その人が本来もっている生命の力を支える仕事であるということです。
できないことを代わりに行うだけではありません。
その人が今もっている力を見つけ、その力を生かしながら、その人らしい暮らしを支えていくことこそが、介護の本当の役割なのです。
本書には、介護の基本となる考え方から、毎日のケアにすぐ役立つ内容まで、多くのイラストを用いて、一つひとつ丁寧に説明しています。
また介護は、その人の暮らしや身体の状態を時間の流れの中で見つめ、一つひとつ課題を整理しながら、よりよい生活へとつなげていく営みです。
本書では、そのための考え方を「ケアの5つのものさし」や「KOMIチャートシステム」を用いて、わかりやすく説明しており、介護の視点から利用者を理解し、その人に合ったケアを考える道筋が、自然に身につくよう工夫されています。
さらに、「クラウド版KOMIシステム」を活用すれば、ネット上で利用者の状態を整理しながらケアの方向性やケア計画を作成することができます。
作成した情報は、介護職同士はもちろん、多職種やご家族とも共有でき、チーム全体で利用者を支えることにつながります。
まさに介護の考え方と実践、そして記録を一体的に学ぶことのできる、新しい時代の介護書といえます。
加えて本書は、著者が長年にわたり看護と介護の現場、教育、研究を通して培ってきた知見をもとに、「介護とは何か」をあらためて問い直した一冊であり、ナイチンゲールKOMIケア理論を基盤に、「いのちのしくみ」という生命科学の視点から介護を捉え直した、新しい介護書でもあります。
介護福祉士を目指す方はもちろん、介護の仕事を始めたばかりの方、長年介護に携わっている方、ご家族を介護している方にとっても、介護の意味をあらためて見つめ直す一冊となるでしょう。
本書が、介護に携わるすべての方にとって、自信と誇りを育み、「介護という仕事の素晴らしさ」と「人を支える喜び」をあらためて実感できる一冊となることを願っています。
目次
もくじ
はじめに ― 介護職を目指しているすべての方へ
介護職の現状
多死社会
介護職希望者の多様性
介護職には修得すべき“介護の原理”がある
介護行為の土台となる“いのちのしくみ”
「介護を世の光に」と願って
介護系の資格と研修
第1章 「ケアの原形論」の形成過程
「ケア」とは「配慮」「気遣い」を意味する言葉
介護ケアの社会化と専門職への道
社会福祉士及び介護福祉士法
介護ケアの理論構築の始まり
「ケアの原形論」とは何か
「ケアの原形論」はどこで誰が提唱したのか
『看護覚え書』が書かれた背景
すべての女性は看護師である
実像のナイチンゲール
「ケアの原形論」の提唱者としてのナイチンゲール
福祉と看護の分岐点とその後の発展
第2章 「介護の目的論」を把持することの重要性
「介護の目的論」はすべての介護者が共有すべきもの
「三段重箱の発想」に基づく介護の実践
介護とは何か ― 定義をめぐって(1)
介護とは何か ― 定義をめぐって(2)
ナースプラクティショナー(NP)
まずは「病気とは回復過程である」を考える
“いのちのしくみ”を知ることから始めよう
医学と介護ケアの見方の違い
はじめの一歩
第3章 “いのちのしくみ”の基本 ― 生命誕生の歴史から
地球と月の誕生
惑星・恒星・衛星
生命の構成物質
元素と原子の違い
生命とは何か
地球の歴史・時代区分と生物のあゆみ
地球(大陸)の変化
宇宙の根源のかたち
個体発生に見る5億年の歴史
「植物」と「動物」のいのちの営み
第4章 “いのちのしくみ”の基本 ― 生命の維持機構(恒常性の維持)
細胞が健康に生きていくための条件
体液のしくみ
細胞の再生・非再生プログラム
DNAの転写ミス修正プログラム
たんぱく質の使い回し ― オートファジー
身体を守る免疫システム
自然免疫
獲得免疫
腸内細菌叢のはたらき
自律神経系と内分泌系と免疫系の関連
生命の維持機構における「肺」と「心臓」の役割
生命維持における「肝臓」と「腎臓」が果たす役割
第5章 病気・老化・障害を介護の視点で考える
介護にとって前提となる学習内容
病気とは「動物性器官」と「植物性器官」の連携の姿
動物性器官と植物性器官が「回復過程」をつくる
病気とは「回復過程」の現れ
回復過程における介護ケアのはたらき
介護には「老化」についての学びが必要
介護には「障害」についての学びが必要
病人・高齢者・障害者の苦痛とは何か
「苦痛②」に向き合う介護ケアの意味
第6章 人間とは何か ―「認識」がその人の個性を決める
人間とは何か
「人間」の特徴は認識の形成
人間の脳の特殊性
脳の新皮質系の機能
認識の作られ方
認識の特徴と個別性
ケアのあり方
第7章 人間の暮らしとケア
生活という現象に潜む原理を解く
KOMIケア理論にみる「生活過程」のとらえ方
生活過程における15の大項目
各分野の特徴
1:呼吸する(第1分野)
2:食べる(第1分野)
インスリンと糖尿病の関係
ペンフィールドマップとは
3:排泄する(第1分野)
ヒドラ
4:動く(第1分野)
5:眠る(第1分野)
季節や体調で変わる不感蒸泄
6:身体を清潔に保つ(第2分野)
7:衣類の着脱と清潔(第2分野)
色が与える影響
8:身だしなみを整える(第2分野)
9:伝える・会話する(第2分野)
10:性にかかわること(第2分野)
11:役割(有用感)を持つ(第3分野)
12:変化を創り出す(第3分野)
13:生活における小管理(第3分野)
14:家計(金銭)を管理する(第3分野)
15:健康を管理する(第3分野)
第8章 「ケアの5つのものさし」と介護過程の展開
方法論の展開
ICF(国際生活機能分類)
介護の目的論と連動させた「ケアの5つのものさし」
「ケアの5つのものさし」を使った「介護過程の展開」
“生命力の消耗”を見つけ、“もてる力”を使ったケア
「介護過程」はゴールに達するまで連続して行われる
ケアのゴール
「終末期ケア」のあり方を考える
第9章 介護過程展開のための道具:KOMIチャートシステム
利用者の情報を「見える化」する
<KOMIレーダーチャート>とは
<KOMIチャート>とは
<KOMIチャート>の判定の仕方
<KOMIチャートシステム>を使った事例
WEB 上で<KOMIレーダーチャート>と<KOMIチャート>を作ってみましょう!
<KOMIレーダーチャート>と<KOMIチャート>の変化から評価する
あとがき
著者について
●著者 : 金井一薫
1987 年 ナイチンゲール看護研究所設立 現在所長
1998 年 日本社会事業大学・教授
2008 年 日本社会事業大学&大学院 教授 退職
2008 年 東京有明医療大学看護学部看護学科
2009 年 同大学 教授、現在は名誉教授
2016 年 徳島文理大学大学院看護学研究科 教授
2025 年 同大学退職
2025 年 株式会社KOMI・訪問看護ステーション ユーナ設立 代表取締役
【主な著書】
金井一薫 著『 ケアの原形論』(新装版)現代社,2004 年
金井一薫 著『 KOMI 理論-看護とは何か,介護とは何か』現代社,2004 年
金井一薫 著『 新版 ナイチンゲール看護論・入門』現代社,2019 年
金井一薫 著『 よみがえる天才9 ナイチンゲール』筑摩書房,2023 年
金井一薫 著・訳,島田将夫 訳『 ナイチンゲール助産論』現代社,2024 年
金井一薫 監修,小南吉彦 著『 看護とは何か』現代社,2025 年
金井一薫 著『 介護とは何か』現代社,2026 年
