『 [改訂版] 育児の生理学 』― 医学から説く科学的育児論
瀨江千史 著
本書は、科学的な医学の体系化をめざす著者が、その過程で構築するに至った「育児の生理学」であり、その内容は、いわゆる「育児書」とは性質を異にしている。
<ヒトの生理学> ではなく、 <生活体としての人間の生理学> を 論理的に究明する本書は、 母親からの疑問に答える 「育児相談」 の形をとり、一般的に、かつ平易に説かれてはいるものの、内容的には、ひとつひとつの具体的な問題を <本質論> <構造論> <現象論> をふまえて体系的に説いたものであり、 科学としての論理性に貫かれた 学的レベルのものである。
■ 現代社白鳳選書 2
■ 第2版/2007年/四六判/320頁
■ 定価 1,400円 (税別) ■ ISBN 978-4-87474-126-9
目次
■Ⅰ.からだの仕組みから病気への構造
1.人間のからだ<その1>
(1) からだの仕組み
2.代謝器官
(2) 胃腸とは 下痢がつづく子/牛乳を飲むと下痢をする子/
便秘は生まれつき?/嘔吐のときの水分の補給
(3) 肝臓とは 生理的黄疸/肝臓のはたらき
(4) 腎臓とは まぶたのむくみ/腎臓のはたらき
(5) 心臓とは 機能性心雑音/ボタロー管開存症と手術
(6) 皮膚とは 皮膚病と内臓/湿疹/アトピー性皮膚炎/
色つき粘土と皮膚炎/日光浴と皮膚ガン/ヤケドの処置
3.感覚・運動器官
a.感覚器官
(7) 眼とは 新生児の眼はいつから見えるか/小児の遠視/
近視と治療/赤ちゃんの斜視
(8) 耳とは 中耳炎による鼓膜の破れと難聴の心配/耳あか
(9) 鼻とは カゼが治ったあと、においがしない
b.運動器官
(10) 人間にとって運動とは何か
運動で肩こりになる子/不器用な子は生まれつきか/
はいはいしない子/肩から腕の痛みがとれない/分娩麻痺/
骨折とギプス固定/骨折と食事/骨の鍛え方
4.統括器官
(11) 脳とは 11歳の子の高熱時のけいれん
(12) 神経とは 自律神経失調症
(13) ホルモンとは 甲状腺機能亢進症/先天性甲状腺機能低下症
5.人間のからだ<その2>
(14) 抵抗力とは 扁桃腺肥大と手術/アデノイドと手術/
幼稚園へ行くと熱を出す子/はしかの予防接種/
カゼとはどんな病気か/元気のない子
(15) 発熱とは 扁桃腺炎の高熱/午後になると体温があがる子/
発熱時に全身を冷やしてよいか?
(16) 先天異常とは ボタロー管開存は遺伝するか?/
奇形はなぜ起こるか/停留睾丸と手術
(17) 薬とは 医院によって違うカゼ薬/喘息発作時の治療
■Ⅱ.「認識」の発達と「認識」への働きかけ
(1) 認識とはなにか 認識とはなにか
(2) 認識の形成過程
急にスベリ台を怖がりだした子/においに敏感な子/
好き嫌いの激しい子/味の好みは生まれつきか?/
友達に咬みつく子/家庭内暴力と食事の関係/
頭のよい子に育てるには/ピアノは頭をよくするか/
幼児期に知識をつめこむのは?/夢を見て泣く子
(3) 言語の発達 「こわい、こわい」という子/言葉の遅い子/
赤ちゃん言葉のとれない子
(4) 排泄のしつけ 布のオムツと紙のオムツ/オシッコを教えない子/
夜のオムツは?/夜尿症/夜尿症と夜起こし
■Ⅲ.子供をとりまく生活環境
(1) 食事
鉄欠乏性貧血の子/ビタミン不足の子/
バランスのとれた食事とは?/食欲旺盛で運動しない子/
離乳食にベビーフードは?/甘い物は歯に悪い?
(2) 衣類 カゼと厚着/パジャマを着せると汗をかく子
(3) 入浴 カゼ気味のときのお風呂は?
(4) 環境温度 幼児とエアコン/エアコン使用の注意点
(5) 生活のリズム 夜ふかし、朝寝ぼうの子
(6) 事故 赤ちゃんの事故を防ぐ
(7) 集団生活 4歳児の幼稚園は早すぎる?
■Ⅳ.育児とはなにか
(1) 人間は育てられて人間になる
(2) 「教育一般」のなかでの「育児の特殊性」
(3) 子供の個性は生活過程でつくられる―松田育児論批判
(4) 育児に何が必要か
■Ⅴ.終章