『医法学原論[基礎編講義]』<並製本>―医師が裁判にかけられずにすむ「裁判医学」=「医法学」を法医学者が説く

本田 克也・菅野 幸子 著

法医学を「医法学」として学ぶ意義

本書では法医学のルーツをふまえて「医法学」の基本について、具体例を交えながらわかりやすく説いていきます。

■現代社白鳳選書 50
第1版/2022年/307頁/定価 2,200円 (税別)
四六判/ISBN 978-4-87474-194-8

目次

序章 法医学を「医法学」として学ぶ意義

(1) 「正当業務行為」とみなされない医療行為は罰せられる

(2) 医事法は体系的に学ぶ必要がある

(3) はじめに「法」とは何かを理解しよう

(4) 法と医療の関係とは

第一章 法医学の原点を見てみよう

(1) 医師となる者には法律の素養が必須である

(2) 日本にも「裁判医学」が必要である

(3) 日本法医学の祖 片山國嘉が目指した学問としての法医学(裁判医学)とは

(4) 裁判医学(法医学)は医学全体の中でどのように位置づけられるか

第二章 全ての医療行為は国家の法体系の下に行われる

(1) 国法から外れた医療行為は社会的に許されない

(2) 裁判にかけられることの恐ろしさ

A 医療訴訟の最近の傾向

B 普段の診療の中で患者との信頼関係を築くことの大切さと難しさ

C 医師が裁判にかけられるとどうなってしまうのか

第三章 医療に関わる法の枠組みを理解しよう

(1) 「公法」とはどういうものか

―国家と医師との法的関係性

(2) 「私法」とはどういうものか

―患者と医師ないし病院との法的関係性

第四章 医師の刑事責任と行政処分

(1) まず「刑法」とは何かを理解しよう

A 国家的法益に関する罪

B 社会的法益に関する罪

C 個人的法益に関する罪

(2) 医療が「正当業務行為」と認められるには

〔コラム1〕片山國嘉が説く、医療ミスをしないための条件とは

(3) 「刑法」の中の重要な条文を理解しよう

A 人間の生命・身体を害する罪

〔コラム2〕  医療倫理の原典「ヒポクラテスの誓い」について

B 個人の自由を害する罪

〔コラム3〕  古代から言われている守秘義務の大事性

(4) 具体的な診療場面で「刑法」との関連を考えてみよう

A 安楽死事件はなぜ起きてしまったのか

B 業務上過失致死傷罪に問われそうな状況とは

C 身体への侵害はなくても生じうる刑事責任

(5)「医師法」とは何か

A 国家における医師の任務とは

B 医師としての資格が認められる条件とは

C 医師の業務とそれに反した場合の刑事罰

(6) 「医療法」とは何か

(7) 具体的な診療場面で「医師法」との関連を考えてみよう

A 応招義務違反との関連で転送義務違反にに問われうる場合

B 無診察治療の危うさとは

C 療養指導したつもりなのにできていない

〔コラム4〕  医学の父 ガレノスが説いた『医術』とは

D 診療録記載不備の危険性

第五章 医師の民事責任とは

(1)「民法」とは何かを理解しよう

(2)「民法」の中の重要な条文を理解しよう

A 注意義務とは

B 説明義務とは

(3)具体的な診療場面で「民法」との関連を考えてみよう

A 注意義務違反に問われそうだった事例

B 患者と医師の認識の大きなズレ その1

C 患者と医師の認識の大きなズレ その2

D 患者は医師に何を求めているのか

おわりに

参考文献・引用文献