『 医学教育概論の実践(2) 』―医学生の学びから初期研修医の学びへ

北條 亮 著

本書は、『医学教育概論の実践』の続編である。
見事な医師になるための頭脳活動の養成とはいかなるものか。
医学部受験生時代より『医学教育概論 (1)~(6)』(瀬江千史・本田克也・小田康友・菅野幸子著、現代社)に一貫して学び続けてきた、新進気鋭の若手医師が、自らの初期研修までの研鑽過程を総括しながら、分かりやすく説いていく。
著者は、医療現場で自らの頭脳活動を弁証法的、認識論的に駆使して対象と命懸けで関わっていく取り組みをした。
その実践レポートは、単なる医学生や研修医の医療実践の記録ではなく、事実として、日常生活のことや試験勉強、実習の出来事や研修医の仕事など、誰もが経験するであろう事柄を取り上げているが、必ず学問的研鑽となるよう弁証法的、認識論的に事実を捉え、そしてそれらの事実から論理を導き出し、一般化している。
『医学教育概論』に導かれるまま、その内容を一つずつ丁寧に辿り返すこと、すなわち『医学教育概論』を自らの頭脳活動で再措定することで、弁証法と認識論を身につけた、まともな医師へと成長することができた。

■現代社白鳳選書46
■ 第1版/2017年/四六判/168頁
■ 定価 1,600円 (税別) ■ ISBN 978-4-87474-179-5

目次

■ 第1部 科学的医療体系の理論的研鑽編

第1章 事実と論理について
第1節 医療現場の具体例で考える
第2節 日常生活の具体例で考える
第2章 弁証法と認識論の上達法、その過程を具体的に学ぶ
第3章 事実から現象的全体像へ、さらに論理的な構造像への過程を学ぶ
第4章 人間は認識的実在であると学問的に捉える大事さを学ぶ
第5章 弁証法の現象的構造を事実で学ぶ
第6章 理論的研鑽とは事実からその共通性レベルの観念 (認識) をつくりあげ、
事実とその共通性たる認識とを直接的同一性レベルで学ぶことである

■ 第2部 科学的医療体系の理論的実践編

第1章 科学的医療体系を学んだアタマでの対象の捉え方
― 体系的でないアタマと比較して
第2章 初期研修医の医療現場の日常
― 突然倒れた患者の初期対応
第3章 医療現場で弁証法を使うということ
― 像の弁証法的発展を実感する
第4章 『医学教育 概論』 の実践とは自力で辿り返すことである
― 再措定するということ、それが実践の中身である
第5章 社会人としての医師の心構えを学ぶ
― 素を出す医師はプロではない
第6章 人間は社会的存在であることを実感する
― 社会的につくられた認識によって歪んだ生理構造
第7章 観念的二重化の過程的構造を実感する
― 像の生生・生成発展を改めて考える