『 医学教育概論の実践(1) 』―ある医学生の学び

北條 亮  著

本書は、季刊 『綜合看護』 (現代社) に連載された 『次代を担う看護学生・医学生への医学概論教育 講座』 の中の「医学生の学び」の文章に、大きく加筆して、構成し直して、単行本化したものである。(この「医学生の学び」は小社刊 『医学教育概論』 にも収載)
現在、ある病院に医師として勤務する著者は、かつて漫然と毎日を過ごしていた20代に偶然、『なんごうつぐまさが説く 看護学科・心理学科学生への“夢”講義』(南鄕継正著・現代社) に出会う。この本に大きな影響を受けた著者は、一念発起して医師を目指すのだが、本書は その著者が大学の医学部で 「本当に実力ある医師になる」 という目標を掲げ、 「どのように学べば優秀な医師になれるのか」 を日々考えて行動した、その実践レポートである。 そこには 「医学概論」 に導かれ、 医学の学びと平行して弁証法を学び、それらを 互いに高めあいながら理想とする医師像を目指す、どこまでも真摯な著者の姿がある。
誰も地図無しには目的地へ着けないように、 しかるべく「医学概論」を医師への学びの地図として、 それに即した学びを実践した記録である本書は、これから医師や看護師を目指す人たちに、その学び方の良き参考となる。

■ 現代社白鳳選書 40
■第1版/2014年/192頁
■定価 1,700円 (税別)/ 四六判/ISBN 978-4-87474-162-7

目次

■第1部 医師になるためのアタマの働かせ方とその実践
― 一般教養の実力を養う

第1章 医学部受験科目も 「医師になるために」 と位置づけて
第2章 具体的に医師像を描く
― ある診療所を見学して
第3章 「病気とは何か」 について学ぶ
第4章 医師と看護師 その役割とアタマの働かせ方の違いについて学ぶ
― 祖父の入院に付き添って
第5章 人間を体系的に捉えるとは
― 医学部1年生の授業の受け方
第6章 「ココロ」 のこもった会話とは
― 相手の言葉を相手の立場で考えて視えてきたもの
第7章 「病気」 と 「診断」 と 「治療」 の一般的な像を描く
― 『暮らしの医学』 を学んで
第8章 唯物論を把持し弁証法を駆使するとは
― 『新・頭脳の科学』 を学んで
第9章 医療実践と看護実践の違いについて
― 看護実習から視えたもの

■第2部 基礎医学の学びを語る

第1章 生きた人間の実体をアタマの中に構築するとは
― 人間が生きているとはどういうことかに収斂させる
第2章 解剖学と生理学の学び方
― 五感覚器官で感じてアタマの中で論理的に体系化させる

■第3部 臨床医学の学びを語る
― 「生きている人間から考える」 を実践する

第1章 生きている人間の全体像の中に知識を論理レベルで
位置づけることの困難さ
第2章 生きている人間にとって 「腎臓とは何か」 を学ぶ
第3章 生きている人間にとって 「循環とは何か」 を学ぶ
第4章 生きている人間にとって 「呼吸とは何か」 を学ぶ
第5章 生きている人間にとって 「生化学とは何か」 を糖尿病から学ぶ
第6章 「人間とは何か」 の一般論から 「小児科」 を学ぶ
第7章 「生命体とは何か」 の一般論から 「感染症」 を学ぶ
第8章 病気には病気に至る過程があることを実感する
― 糖尿病患者との対話を通して

■第4部 病気の 「知識」 から 「診断学」 へ

第1章 『内科診断学』 の学びは知識を実践に即して引き出す訓練である
第2章 これまでの学びの過程はその内容も順番も正統な流れを
積み重ねている