『 医学教育 概論 (4) 』―医学生・看護学生に学び方を語る

瀨江千史/本田克也/小田康友/菅野幸子 著 医師や看護師の仕事は、人間の生命を預かり、守る、やりがいのある、誇りをもてる仕事であるが、最近の医療界は医療ミスが続出し、厳しい状況にある。 そのようなミスを犯さない、実力のある医師になるには、どうしたらいいのか? 本書では、医学生が大学での6年間、それぞれの授業や実習に、どういう観点から、どのように取り組んでいったら、医師としての実力をつけることができるのか、さらには日々の学生生活をどのように過ごしたら、 医師としての素質を養うことができるのかが、わかりやすく説かれている。 本講座が医学生に向けて説く内容は、 論理的には看護学生にもそのままあてはまるので、医師を看護師に、医療実践を看護実践におきかえて学ぶことができる。 【第4巻】 ■ 現代社白鳳選書 31 ■第1版/2011年/280頁 ■定価 2,400円 (税別)絶版 / 四六判/ISBN 978-4-87474-141-2

目次

第20課 実力ある医師になるための学びの過程的構造 (1) 学びの全体像 ─「一般教養」 「基礎医学」 「臨床医学」 の関連 (2) 人間という実体の構造を学ぶ 「解剖学」 「組織学」 「発生学」 (3) 人間という実体の機能を学ぶ 「生理学」 「生化学」 「免疫学」 (4) 現実的なニーズに基づく医学教育プログラムが必要である (5) 専門医の特殊な実力は医師としての基本的な実力の上にこそ築かれる (6) 医学部での教育は一般臨床医としての基礎的実力の養成を 医学生の学び ― Propylaen zur Wissenschaft 20 ― 第21課 医学生のアンバランスな実力を生む現代の医学教育 (1) 実力ある医師へ向けた実りある大学生活を (2) 医学生には文化遺産を整序した教科書の学びが不可欠である (3) 現代の学習教材の多様化の落とし穴  ─わかった気にさせられてしまう恐さ (4) 医学生の知識の著しい偏り  ─雑多な高度専門知識と欠落した基礎知識 (5) 出発時にゴールとそこに到達するための学びの全体像が描けなければならない 医学生の学び ― Propylaen zur Wissenschaft 21 ― 第22課 医学教育の体系性をふまえた 「基礎医学」 の学び (1) 医学教育改革には医学教育の体系性が欠落している (2) 一般教養から専門課程への学びの体系性を説く (3) 「生理学」 「生化学」 「免疫学」 とは何か  ―その学びの順序の必然性を説く (4) 器官・系統別統合カリキュラムでは人間の全体像が描けない (5) 生理学の知識は「内部環境の恒常性の維持」に結びつける (6) 生化学で学ぶ化学変化は生きている人間の全体像の中に位置づける (7) 免疫学は人間が外界と相互浸透して生きているしくみを学ぶものである (8) 医師として人間が生きている全体像を描けるようになるための症例の提示 医学生の学び ― Propylaen zur Wissenschaft 22 ― 第23課 現代の実践方法論 「問題指向型システム」 を問う (1) 見事な基礎医学の学びは臨床実践を導く (2) 医師の合理的な思考を育てるために導入された問題指向型システム(POS) (3) 患者の事実を取りだすにも医師の実力を要する (4) 問題指向型システムに基づく問題リストと評価  ─研修医のレポートより (5) 問題指向型システムに基づく問題リストと評価  ─ベテラン指導医の見解 (6) 優れた指導医は事実を的確に把握しその意味を考える 医学生の学び ― Propylaen zur Wissenschaft 23 ― 第24課 病気の実体を把握できない問題指向型システムの限界 (1) 優れた指導医の実力にみる問題指向型システムの限界 (2) 病気の過程的構造に分けいった治療が必要である (3) 問題指向型システムでは 「病気の実体」 を把握できない (4) 病気の原因・病気に至る過程を解明しなければならない (5) 生物現象の 「絶対的必然的因果関係」 を実証しようとしたベルナール (6) 正常な生理構造をふまえて病気に至る必然的因果関係を把握しなければならない (7) 歪んだ生理構造を把握するための人間の論理的な構造像を示す (8) 人間の論理的な内部構造から人間が健康に生きていける条件が導かれる (9) 〔症例4〕 患者が潰瘍性大腸炎になってゆくプロセスを説く 医学生の学び ― Propylaen zur Wissenschaft 24 ― 第25課 人間が生きている全体像をふまえて病気の実体へと論理的に迫る (1) 人間の論理的構造像の理解は病気の過程的構造を把握する鍵となる (2) 成長期の生理構造は生活過程でつくられる (3) 生理構造の歪みへと至らせた事実を生活過程にみる (4) 歪んだ生活過程(食事・運動・睡眠)がどのように生理構造を歪めたか (5) 「人間にとって健康な状態」 を考えるための理論が必要である (6) 人間は三重の生理構造を持った特殊な生命体として把握しなければならない (7) 生命体としての一般性とは何か  ―生きていることの本質は代謝である (8) 哺乳類としての特殊性とは何か ―運動を支える実体と機能の高度な分化 (9) 人間としての特殊性とは何か ―脳の機能の一つとしての認識が無限に発展できる (10)人間が健康を維持できる食とは  ―食事が関与しない病気はない 医学生の学び ― Propylaen zur Wissenschaft 25 ― 第26課 科学的医学体系に基づく実践方法論を駆使して病気の実体を解明する (1) 教育界の混乱が理論を渇望している (2) 実践方法論に必須の〔図3〕から〔図7〕を概括する (3) 人間の生理構造の特殊性をふまえて人間の健康とは何かを説く (4) 人間の健康の論理構造をふまえて〔症例4〕の病気の正体に迫る (5) 生理構造の歪みの過程を論理的に説く (6) 〔症例4〕 が潰瘍性大腸炎として現象した過程的構造に分けいる (7) 人間の正常な生理構造をふまえれば難病も治癒に導く道筋がみいだせる 医学生の学び ― Propylaen zur Wissenschaft 26 ― 第27課 科学的医学体系に基づく実践方法論の習得の重要性 (1) 生きている人間の生理構造を論理的に理解すれば病気の実体に迫ることができる (2) 病気に至る過程的構造を把握すれば診断・治療の中身が違ってくる (3) 科学的理論に基づいた実践方法論とは何か (4) 病気とは何かの理論的措定とベルナールとの新たな出会い (5) 生理学を重視したベルナールと病的変化を重視したウィルヒョウ (6) 病的変化を健康の法則から説明したベルナールとナイチンゲール (7) 病的変化は単なる結果でありこれだけで病気の実体を説明することはできない (8) 科学的理論に基づく実践方法論にのっとったアタマの訓練を (9) 提示した図は専門課程の全体像を示すとともに実践を導く (10)カントも説く科学的理論に基づいた実践方法論の有用性 医学生の学び ― Propylaen zur Wissenschaft 27 ― 第28課 読者の質問に答える ―学び方に焦点を当てて第一部・第二部を概括する (1) 日本の医学教育の形式面の充実と内実の停滞を憂う (2) 【質問1】 【質問2】 医師像を描くための早期現場体験実習はいかにあるべきか (3) 生の事実から表象像を描く訓練が医学生に欠けたる実力を補う (4) 【質問3】 生活過程を把握する実力を養うには一般教養が必須である (5) 【質問4】 一般教養を具体的な像としてイキイキと描くには (6) 常態論を学ぶには  ―具体的な教科書を提示する 医学生の学び ― Propylaen zur Wissenschaft 28 ―