『 医学教育 概論 (2) 』―医学生・看護学生に学び方を語る

瀨江千史/本田克也/小田康友/菅野幸子 著

医師や看護師の仕事は、人間の生命を預かり、守る、やりがいのある、誇りをもてる仕事であるが、最近の医療界は医療ミスが続出し、厳しい状況にある。
そのようなミスを犯さない、実力のある医師になるには、どうしたらいいのか?
本書では、医学生が大学での6年間、それぞれの授業や実習に、どういう観点から、どのように取り組んでいったら、医師としての実力をつけることができるのか、さらには日々の学生生活をどのように過ごしたら、 医師としての素質を養うことができるのかが、わかりやすく説かれている。

本講座が医学生に向けて説く内容は、 論理的には看護学生にもそのままあてはまるので、医師を看護師に、医療実践を看護実践におきかえて学ぶことができる。

【第2巻】
■ 現代社白鳳選書 25
■第1版/2007年/180頁
■定価 1,700円 (税別)/ 四六判/ISBN 978-4-87474-124-5

目次

第7課 医師が診断・治療に必要な事実を取りだす過程とは

(1) 本講義第一巻の要旨 ―医学生として学ぶべきことは何なのか
(2) 現在、医師としての「もののみ方・考え方」の基本線の教育が注目されている
(3) 対象と関わって事実を取りだすのは人間の認識である
(4) 医師の診断に必要な事実とは何か
(5) みることが困難な事実を内部構造に分けいって取りだすとは
(6) 病気に至る過程の事実を患者との会話によって取りだす方法
(7) 無限の事実から必要な事実を取りだすことが診断の第一歩である
医学生の学び ― Propylaen zur Wissenschaft 7 ―

第8課 「身近な病気」を「病気の一般論」からみる訓練をしよう

(1) 本書の使命は医師としての実力を養成することにある
(2) 医師として必要な事実を取りだす実力はどのようにして養うのか
(3) 身近な病気を対象に、事実を取りだす基礎的訓練を行う
(4) 病気の事実を取りだすために必須のものとは何か
(5) 必要な事実を取りだすための「病気とは何か」の一般論
(6) 病気の一般論から事実を取りだす「実習症例」をみてみよう
(7) 病気に至る過程の必然性を理解する必要がある
(8) 病気の一般論を把持してこそ患者の診断・治療が可能となる
(9) 「身近な病気へのアプローチ実習」で、医師の基礎的実力は養成できる
医学生の学び ― Propylaen zur Wissenschaft 8 ―

第9課 医師としての実力養成に医術の上達論が必要である

(1) 医師としての実力養成は基礎的な医術の訓練から
(2) 医師としての実力養成は現実の患者と関わることによってこそ
(3) 医学部の実践教育は実力養成のための医術上達論を無視している
(4) 医師への実践教育は段階的上達過程を辿らせなければならない
(5) 医学生の抱える医師としての重大な欠陥を問う
(6) 現実の人間の生活的反映のない知識の習得で合格した医学生の欠陥とは
(7) 現実の対象を反映した像を描く実力に欠ける医学生
(8) 医学生は人間の生活的外界を反映させる感覚器官の実力が育っていない
(9) 人間として育てそこなった感覚器官や脳を医術へむけて再生させるには
医学生の学び ― Propylaen zur Wissenschaft 9 ―

第10課 医師の診断技術の根本は五感器官を駆使して病気の全体像を描くことにある

(1) 医師の実践に五感器官の実力がいかに重要かを説く
(2) 医師の実践は五感器官を総動員して病気の像を描く訓練をすることから始まる
(3) 検査は医師が描いた病気の全体像を確認するための補助手段でしかない
(4) 診察でまず重要なのは五感器官を駆使した患者の望診(全身状態の観察)である
(5) 〔症例3〕検査であきらかな異常のなかった重症患者を問う
(6) 研修医の観察が患者の急変の発見を可能にしたのはなぜか
(7) 診断の基本は医師が病気への全体像をアタマに描けることである
医学生の学び ― Propylaen zur Wissenschaft 10 ―

第11課 『医学教育概論』第一巻・第二巻を概括する

(1) 患者の事実から病気の全体像を描くことの学びが医療実践の基本となる
(2) 「医学概論」のイントロダクションとして医師とは何かを説く
(3) 医師とは何か、医術とは何かを具体的に描くための症例検討
(4) 患者から医術に必要な事実を取りだしてくる訓練がまず必要である
(5) 「病気とは何か」の一般論を指針に事実を取りだす訓練過程をみてみよう
(6) 現実の人間の生活的対象と関わる実力が不足している医学生の現状
(7) 受験秀才を医師にすることを前提とした医学教育改革の歪みを直視しよう
医学生の学び ― Propylaen zur Wissenschaft 11 ―