南郷継正 著
『ヘーゲル哲学の道 第三巻』〔修学・原典編〕―ヘーゲル精神現象学〔序論〕は「哲学の神髄」への道標
『武道哲学講義』第三巻(白鳳選書版)を、内容に即した書名に改め、上製本として発刊。
本シリーズ『ヘーゲル哲学の道』(全3巻)は、学問を志す初心者のための傑出した哲学入門書です。
本書第三巻は、ヘーゲル哲学の要となる部分
――従来、哲学界でも極めて難解として敬遠されてきた箇所――を読み解くことができるようになるための書です。
ヘーゲルが目指した「学問としての哲学」とは一体どういうものか、そしてなぜヘーゲルはそれを成し遂げられなかったのか、ということが史上初めて解き明かされていきます。
そこをふまえて私たちが学問を体系化するための真の道しるべとなる書です。
【第三巻】 第1版/2024年/232頁/定価 3,000円 (税別)
四六判/ISBN 978-4-87474-206-8
目次
まえがき
◆ 第一部 『精神現象学 序論』 ―原典修学〔教養編〕
【一】 はじめに
(1) 本講義の主題は 『精神現象学 序論』 はいかなる内容か、である
(2) ヘーゲル哲学は体系的 (弁証法的) に学ぶならば難解ではない
(3) 弁証法的唯物論と唯物論的弁証法から 「絶対精神」 の構造は説かれる
【二】 歴史的に視て取った弁証法の学び
(1) ヘーゲルを読むには弁証法成立の過程的構造の解明が必要である
(2) 学問レベルでの弁証法を把持していない人は、ではどうなるのだろうか
(3) カント、ヘーゲルの学的過程には、学問成立に必須の討論相手が存在しなかった
(4) 学問としての弁証法の修学過程では、細かな事実に捉われるべきでない
(5) カント、ヘーゲルの学的弁証法の実力を問う
【三】 『精神現象学 序論』 で読み取るべきことは何か [1]
(1) 学問の出立時に把持すべきことを問う
(2) 弁証法を学ぶに必要な事実の上限を説く
(3) 論文の冒頭には、結論的解答をまず述べる必要がある
(4) 『序論』 は本論である 『精神現象学』 に対する批判への反論である
(5) ヘーゲルは 『序論』 で一体、何を説きたかったのか
【四】 『精神現象学 序論』 で読み取るべきことは何か [2]
(1) 『序論』 の学力は論理のレベルであり、まだ理論レベルではない
(2) ヘーゲルは学問体系創出のための 「論理学」 が何故書けなかったのか
(3) ヘーゲルの学問は主観的絶対精神の自己運動そのものである
(4) 社会的認識は絶対精神の自己運動の一つの形態である
(5) 哲学者としてのヘーゲルは何故失敗したか
(6) 『序論』 を読むための認識論の基礎を説く
(7) ヘーゲルはカント、フィヒテ、シェリングから何を受け継いだのか
◆ 第二部 『精神現象学 序論』 を読む
【一】 『精神現象学 序論』 の構造に立ち入る [1]
(1) ヘーゲルの説く 「教養」 とは一体、何か
(2) エンゲルスの言葉の 「過程の複合体」 とは何か
(3) 学問の体系構築の過程的構造論
(4) 学として体系的な像を創るとはいかなることか
(5) 生きた実体を主体として把捉するとは
(6) 絶対精神の自己運動の構造論を説く (Part1)
【二】 『精神現象学 序論』 の構造に立ち入る [2]
(1) ヘーゲル流 「発展史観」 とは何か
(2) 実体とその現象形態
(3) 絶対精神の自己運動と弁証法の関係
(4) 絶対精神の自己運動の構造論を説く (Part2)
(5) 絶対精神の自己運動と概念の自己運動
【三】 終わりに
(1) ヘーゲルは何故、学問体系を創出できなかったのだろうか
(2) ヘーゲルが学問の体系化を意欲した以上、なすべきだったことは何か
(3) 「弁証法は諸学問の冠石」 (プラトン) の学問的意義を説く
(4) 学問体系としての論文を書くとはどういうことか