『護身武道空手概論』―女性のための武道への招待

朝霧華刃 ・ 神橘美伽 著

本書は、著者自身の武道への人生を賭けた実践と、後に続く者たちへの指導から得た学びとの、したたる汗と涙の結晶である。
その内容は 護身の知識・実践・指導方法、また護身におけるアタマの働かせ方・ココロの持ち方・カラダの働かせ方など、「護身武道空手とは何か」「女性が武道家を志すとは」 を一貫した論理性で説くものである。
武道の厳しい修練と同時に 弁証法の研鑽を重ね、それらを共に極めんとする著者らの ひたむきな姿勢は、自分の生きたい人生を主体的に生き抜くための心構えや覚悟を、読む者にも 熱く問うてくるようである。
本書は、個人の護身の学びにはもちろん、危機管理を必要とされる団体組織の責任者などにも参考となるだろう。
また、女性に限らず、意気に燃えて 何事かを 成し遂げようと励む方、気概に満ちて一流の人生を 送ろうと志す方にも、大志あふれる本書をぜひ薦めたい。

■現代社白鳳選書 104
■ 第1版/2013年/四六判/224頁
■ 定価 1,400円 (税別) ■ ISBN 978-4-87474-156-6

目次

推薦の辞 ―本書をあえて現代の若い人たちに、そして現代を憂うる人たちに (南郷継正)

【 第1部 】 女性のための武道への招待

◆第1章 女性が武道家を志すとはいかなることかを説く

・第1節 女性武道家を志すとはいかなることか
・第2節 なぜ 「21世紀は女性の時代」 なのか
・第3節 女性武道家を志す覚悟とはいかにあるべきか
・第4節 女性のために武道とスポーツの違いを説く

◆第2章 女性が武道を志したばあいの困難性を説く

・第1節 女性にとっての “落とし穴” たる “感情” について説く
・第2節 武道・護身術のために自らの認識・実体を創りかえなければならない
・第3節 女性の育てられる過程が “落とし穴” を創っている
・第4節 女性の武技習得時に勘違いする 「華麗なる闘いの像」

◆第3章 女性のために武道を学ぶ 「環境」 について説く

・第1節 人間は人間をとりまく自然・社会・精神によって創られる
・第2節 武道を学ぶための現代の 「環境」 はいかなるものか

◆第4章 女性のために武道と護身術の違いを説く

・第1節 「武道と護身術」 はどう違うか
・第2節 「武道空手と護身空手」 の練習体系の違いについて

◆第5章 女性は将来の “夢” も護身術の学びも明確な目標を必要とする

・第1節 等身大の “夢” しか描けない現代女子学生
・第2節 社会性・現実性のない “夢” は破綻する
・第3節 護身武道空手も現実的な明確な目標を必要とする
・第4節 護身を学ぶ重要性を認識する必要性がある
〔自宅で起きた母親の体験談〕

【 第2部 】 護身武道空手概論

◆第1章 護身武道空手とは何か

・第1節 護身とは何か

(1) 現代は万人に護身術が必要な時代である
(2) 護身の本質的一般論を説く
(3) 「護身」 の概念と定義は違うものである
(4) 武道空手と護身武道空手はどう違うか

・第2節 護身武道空手に至るまでの生成発展の歴史

(1) 空手の歴史の起源
(2) 空手の歴史 ~中国から琉球へ~
(3) 空手の歴史 ~沖縄から日本本土へ~
(4) 昭和20年代後半の空手

・第3節 護身武道空手の上達過程はいかなるものか

(1) 「護身」を人間一般から説く
(2) 現代の日常生活で消えた 「人間体」 創りから行う必要がある
(3) 武道空手と護身武道空手の上達の過程を見る
(4) 護身の練習と 「人間体」 の創りは直接的同一である
(5) メディアに見る現代護身の問題点

・第4節 実践的な護身武道空手の学び方を説く

(1) 常に 「相手が襲ってくる」 との目的を持つ
(2) 武道空手と護身武道空手の本質を忘れないこと
① 武道空手と護身武道空手の練習過程を構造的に見る
② 武道空手と護身武道空手の約束組手の 「構え」 の違いを見る
(3) 易より難へは全体の順序であって、個別の技のではない
① 武道空手技と護身武道空手技を説く
(4) 人生から考える空手の学び

◆第2章 約束組手

・第1節 武道空手 (闘う体技) における約束組手の過程的構造

(1) 約束組手とはいかなるものか
(2) 人間の本質から約束組手の必要性を見る
(3) 逃げない=闘えるココロとカラダ (精神と身体) を約束組手によって創るとは
(4) 護身武道空手こそ約束組手の学びが必要である
(5) 約束組手をふまえた上達の多重構造を見る

・第2節 弁証法的な段階をとった約束組手の練習の具体的方法と注意点

(1) スピードと力強さの三段階と間合の三段階
① 「スピードと力強さの三段階」
② 「間合の三段階」
(2) 約束組手は約束して行うものすべてを総括した概念である
(3) 武道空手の約束組手における 「過程的構造」 を説く
A 上段突きで行う約束組手の具体的方法と注意点
B 蹴り技における約束組手は 「横蹴りから前蹴りへ」 に利点がある
C 骨を鍛える練習にもなる約束組手
D 横蹴りで行う約束組手の具体的方法と注意点
E ココロとカラダ (精神と身体) の一体化とは
F 前蹴りで行う約束組手の具体的方法と注意点

◆第3章 護身の構造 ―護身の本質的一般論から構造を説く

・第1節 護身におけるアタマの働かせ方とは何か

〔質問1〕 護身的 「アタマの働かせ方」 「ココロのもち方」 を問う

・第2節 相対的独立に護身の 「三段階」 を説く

(1) 護身の第1段階 ―危機的状況を回避すべくアタマを働かせる
〔体験談1〕 海外で陥った危機的状況
(2) 護身の第2段階 ―危機的状況を察知したら直ちに脱出する
〔体験談2〕 電車内での危機的状況からの脱出
(3) 護身の第3段階 ―危機的状況から脱出するために攻防をする
〔質問2〕 自分以外の人を護る方法を問う①
〔質問3〕 自分以外の人を護る方法を問う②

・第3節 護身におけるココロのもち方とは何か

(1) 練習には 「非常心」 の養成課程が必要である
〔質問4〕 護身的ココロの創り方を問う ①
〔質問5〕 護身的ココロの創り方を問う ②
(2) 「平常心→非常心→平常心」 で護身的ココロを創る
(3) 恐怖に恐怖しないココロを創る練習過程が必要である

・第4節 様々な状況における護身を具体的に説く

(1) 銃器からの護身を問う
〔質問6〕 銃器にはいかに対処すべきか
(2) 自然的・社会的危害からの護身を問う
〔質問7〕 社会的危害から身を護るとは
(3) 精神的攻撃に対する護身を問う
〔質問8〕 精神的な攻撃に護身術は役立つか

・第5節 護身と生命賭けの構造を説く

(1) 護身の場面こそ生命賭けである
〔質問9〕 生命を賭けずに護身をするには
〔体験談3〕 護身初心者による危機的状況での攻防
(2) 目的・危機意識をもって創る護身の技