『 ケアの原形論 』(新装版)
金井一薫 著
看護と福祉の連携と統合をめざす著者は、両分野を支える学問的基盤が強固でないとして、「ケアの原形」を明らかにするため19世紀イギリスにさかのぼり、“ケアの天才”ナイチンゲールの思想とその業績を分析した。
「ケアの原形論」は、現代の日本において、さまざまに現象している看護や福祉の姿から、今後のあり方やその展望を思考するときに、立ち戻るべき思考のよりどころを教え、さらに本質を見失うことなく、あるべき姿を描けるように導く道標のような役割を持つといえるであろう。
■ 現代社白鳳選書 18
■ 第2版/2004年/四六判/280頁
■ 定価 1,800円 (税別) ■ ISBN 978-4-87474-116-0
目次
序 章
第1節 「ケアの原形論」の骨子
第2節 「看護」と「介護」と「ケア」
第1章 看護的ケアと福祉的ケアを促した英国の土壌
第1節 救貧法制定下における貧民の区分とその処遇形態(ケアシステム)
第2節 イギリスの大都市における貧民階層の生活実態を見る
第3節 救貧院(ワークハウス)での生活実態
第2章 近代ケア論の出発点 ―“対象論”と“援助論”の方向軸
第1節 ケアの原形論のスタート地点
第2節 貧民概念の“近代的変換”への一過程とその内容
第3節 看護的ケアと福祉的ケアに共通する“ケアの目的論”の形成
第3章 ケアの組織論の原形 ―ケア部門の独立と組織のあり方
第1節 ケアワーク創設期における組織論の原形
第2節 在宅ケアシステムの原形と展開過程
第4章 わが国の看護の流れと介護の生成過程
第1節 わが国の看護実践の特徴とその課題
第2節 介護実践の生成過程と介護福祉士の誕生
第5章 看護の本質と介護の本質 ―“ケアの原形論”を今日に活かす
第1節 三段重箱の発想と実践の構造
第2節 ケアの原形思考を実践に活かす
第3節 看護と介護、各々の独自性について
付 録 救貧覚え書(F.ナイチンゲール著、金井一薫訳)