『武道哲学講義(第3巻)』
南郷継正 著
本書は、著者の『全集』に収載された「武道哲学講義」に、新たに手を加えて単行本化されたものである。
その内容は、未刊の『全集』第三巻「哲学・論理学への道」(著者の学的研鑽の終章となるべき内容を把持して発刊される予定)の素稿(study)としての実質を持つものである。
この『武道哲学講義』はこれまで著者が学者や研究者を目指す人達に行ってきた、学問レベルの哲学入門の講義の内容をまとめたもので、そのためはじめから書物としての体系的な完成を目指して書かれたものではないが、講義形式という構成は初学者にも読みやすく、体系的に書かれた書物とはまた違った形で、著者の武道哲学を学ぶことができる。
本物の学問への道を目指すのであれば、自分の専門分野についての修学だけでなく、あわせて弁証法の修得が必須であると著者は説き、そのための努力の方法が本書全体を通して 熱心に教授される。
■現代社白鳳選書 108 ※品切れ(在庫なし)
【第3巻】 第1版/2016年/232頁/定価 1,600円 (税別)
四六判/ISBN 978-4-87474-175-7
目次
まえがきに代えて ― 第1巻の学びを再び読者に
◆ 第1部 『精神現象学 序論』 を読めるためには
【1】 はじめに
(1) 本講義の主題は 『精神現象学 序論』 はいかなる内容か、である
(2) ヘーゲル哲学は体系的 (弁証法的) に学ぶならば難解ではない
(3) 弁証法的唯物論と唯物論的弁証法から 「絶対精神」 の構造は説かれる
【2】 歴史的に視て取った弁証法の学び
(1) ヘーゲルを読むには弁証法成立の過程的構造の解明が必要である
(2) 学問レベルでの弁証法を把持していない人は、ではどうなるのだろうか
(3) カント、ヘーゲルの学的過程には、学問成立に必須の討論相手が存在しなかった
(4) 学問としての弁証法の修学過程では、細かな事実に捉われるべきでない
(5) カント、ヘーゲルの学的弁証法の実力を問う
【3】 『精神現象学 序論』 で読み取るべきことは何か [1]
(1) 学問の出立時に把持すべきことを問う
(2) 弁証法を学ぶに必要な事実の上限を説く
(3) 論文の冒頭には、結論的解答をまず述べる必要がある
(4) 『序論』 は本論である 『精神現象学』 に対する批判への反論である
(5) ヘーゲルは 『序論』 で一体、何を説きたかったのか
【4】 『精神現象学 序論』 で読み取るべきことは何か [2]
(1) 『序論』 の学力は論理のレベルであり、まだ理論レベルではない
(2) ヘーゲルは学問体系創出のための 「論理学」 が何故書けなかったのか
(3) ヘーゲルの学問は主観的絶対精神の自己運動そのものである
(4) 社会的認識は絶対精神の自己運動の一つの形態である
(5) 哲学者としてのヘーゲルは何故失敗したか
(6) 『序論』 を読むための認識論の基礎を説く
(7) ヘーゲルはカント、フィヒテ、シェリングから何を受け継いだのか
◆ 第2部 『精神現象学 序論』 を読む
【1】 『精神現象学 序論』 の構造に立ち入る [1]
(1) ヘーゲルの説く 「教養」 とは一体、何か
(2) エンゲルスの言葉の 「過程の複合体」 とは何か
(3) 学問の体系構築の過程的構造論
(4) 学として体系的な像を創るとはいかなることか
(5) 生きた実体を主体として把捉するとは
(6) 絶対精神の自己運動の構造論を説く (Part1)
【2】 『精神現象学 序論』 の構造に立ち入る [2]
(1) ヘーゲル流 「発展史観」 とは何か
(2) 実体とその現象形態
(3) 絶対精神の自己運動と弁証法の関係
(4) 絶対精神の自己運動の構造論を説く (Part2)
(5) 絶対精神の自己運動と概念の自己運動
【3】 終わりに
(1) ヘーゲルは何故、学問体系を創出できなかったのだろうか
(2) ヘーゲルが学問の体系化を意欲した以上、なすべきだったことは何か
(3) 「弁証法は諸学問の冠石」 (プラトン) の学問的意義を説く
(4) 学問体系としての論文を書くとはどういうことか