『増補版 武道居合學〔綱要〕』―武道居合の復権
飛龍 田熊叢雪 著
本書は、武道哲学・武道科学創始者である南郷継正氏から 数十年もの薫陶を受けた著者が、「武道居合とは何か ―現代武道を問う」として『学城』に掲載した内容に大幅に加筆してより詳細に示した『武道居合の論理大系』(第壱部)と、著者が師範を努める流派で用いる教科書として執筆した『武道居合 修練教書』(第弐部)の二部からなる。
武道居合とは一体いかなるものなのか、武道居合の要となる「斬る」とはいかなる構造を持つものなのか、他流で伝統的に行われている「序、破、急」の抜き方とは何か、それに対する科学的武道論を媒介にした抜き方とは何か、本当の「序、破、急」の武道としての適用とは何か…など科学的、論理的に説き明かされる。
時代劇の殺陣の刀法と本物の刀法との違いや、本物とはをそれなりに分かっていた時代の小説をとりあげた日本刀の術技に関する記述も興味深い。
※本書は従来の『武道居合學〔綱要〕』に、制定形に関する連続写真を16枚追加して、新たに「増補版」として刊行したものです。
(文章は旧版のままで、加筆はありません)
■現代社白鳳選書 103 ※品切れ(在庫なし)
■ 増補版/2014年/四六判/264頁
■ 定価 2,400円 (税別) ■ ISBN 978-4-87474-165-8
目次
◆第壱部 武道居合の論理大系
第壱の章
一、 武道居合とは何かⅠ (現代までの居合を概観する)
二、 武道居合とは何かⅡ (武道における居合を概観する)
三、 武道居合をどう学ぶか
四、 武道居合とは何か、その具体を説く
五、 武道居合たる斬る技とは
六、 わが流派の 「斬る技の創出」 法の 「想い出」 を説く
第弐の章
一、 武道居合の基本技とは何か
二、 抜き付けとは何か、その具体と構造を説く
三、 居合における斬り降ろしとは何か、その具体と構造を説く
四、 斬る技の構造 (切っ先の論理とは何か)
五、 斬る技の構造 (軽い居合刀での訓練の 「想い出」 を説く)
六、 水?流・刀法の謎について
第参の章
一、 はじめに
二、 抜刀の論理Ⅰ (「序、破、急」 とは何か)
三、 抜刀の論理Ⅱ (「序、破、急」 の構造を問う
四、 斬る技の上達の構造 (科学的抜刀法とは何か)
五、 斬る技の上達の構造 (土台力転化の論理)
第四の章
一、 現代居合の 「序、破、急」 とはいかなるものか
二、 「序、破、急」 なる概念の起源を視る
三、 武道居合の正統歴史を視る
四、 「居合」 と 「序、破、急」 の融合とは
五、 「序、破、急」 の武道としての適用とは
六、 「序、破、急」 の形骸化とは
第五の章
一、 はじめに
二、 刀法、刀技の発生とは
三、 刀法、刀技の像とは
四、 殺陣の刀法と本物の刀法の違いとは
五、 本物の刀法の構造とは
第六の章
一、 はじめに
二、 時代小説に見る刀法Ⅰ (刀法対刀法の勝負)
三、 心眼で視る刀法の構造とは
四、 時代小説に見る刀法Ⅱ (刀法対居合法の勝負)
五、 居合の初太刀の構造を問う
六、 刀法対居合法の勝負の特殊性とは
◆第弐部 武道居合 修練教書
Ⅰ 武道居合の章
第一の章 武道居合とは何か
第二の章 武道居合の具体的像を説く
第三の章 我々の目指す武道居合
第四の章 武道居合を学ぶ意義
第五の章 小刀による女子居合の意義
Ⅱ 武道居合 技一般の章
第一の章 武道居合 技一般を説く
第二の章 刀法における斬る技の構造
第三の章 武道居合 「抜き付け」 技の構造
第四の章 武道居合 「斬り降ろし」 技の構造
第五の章 武道居合を駆使する土台とは何か
第六の章 土台の移動と間合
Ⅲ 武道居合 基本技の章
第一の章 基本技の創出の心構え
第二の章 大刀居合技と小刀居合技について
第三の章 基本技
(一) 構え
(二) 抜き付け
(三) 斬り降ろし
(四) 納刀
Ⅳ 基本技 上達の章
第一の章 切っ先への意識について
第二の章 斬るという感覚の養成
第三の章 肘・手首を意識的に使うこと
第四の章 武道居合体の鍛錬を一つ二つ
Ⅴ 武道居合 制定形の章
第一の章 表の五條
〔表の一條〕・・・秘刀 十文字崩し
〔表の二條〕・・・逆刀 十文字崩し
〔表の三條〕・・・十文字斬刃落とし
〔表の四條〕・・・抜刀嵐技逆巻
〔表の五條〕・・・翔龍の舞
第二の章 裏の七條
〔裏の一條〕・・・大津波返し
〔裏の二條〕・・・一文字二段斬り
〔裏の三條〕・・・龍神斬り落とし
〔裏の四條〕・・・水月の刃舞
〔裏の五條〕・・・水月二段斬り
〔裏の六條〕・・・氷雨の刃
〔裏の七條〕・・・稲妻の刃落とし
第三の章 組の三條
〔組の一條〕・・・叢雲 (むらぐも)
〔組の二條〕・・・村雨 (むらさめ)
〔組の三條〕・・・東雲 (しののめ)