『南郷継正 武道哲学 著作・講義全集(第11巻)』―武道哲学各論Ⅲ

『全集』は、武道哲学・武道科学創始者である南郷氏の人生の集大成として発刊されるものである。

南郷氏は、「武道講義」を日本文化の高みに置くことを願って、学問中の学問である哲学という学問レベルで説くために、学問としての哲学をほぼ完成させたヘーゲルを目標に研鑽を重ねた結果、ヘーゲルのような観念論の立場ではなく、唯物論の立場で、哲学を現実的な学問に近づけるという目標の高みにほぼ達することができた。

すべての書の題名に「武道」という文字が冠してあるが、内容は単なる武道論・技術論・上達論・教育論等々の展開にとどまらず、それ以上に、武道の後に続く「哲学」や「科学」を学問レベルで説くことにも主眼が置かれている。

【第11巻】
限定版/2015年/360頁/定価 4,500円 (税別)
A5判/上製本(ケース入)/ISBN 978-4-87474-166-5

目次

■ 『全集』 の読者への挨拶 11

■ 武道哲学 武道と認識の理論 3

【 序の編 】 認識論から教育を問う

序の章1 現代教育に大きく欠けたるもの

(1) 私はどうやって認識論・教育論・技術論を構築してきたか
(2) 劇画時代の風潮を憂う ― マンガとは何か
(3) 生きることを問う ― 目的意識的とは何かを認識論から問う
(4) 大きな志とはいかなるものか

序の章2 認識論から教育を問う

(1) 論理能力とは何か ― 論理の構造を問う
(2) 思想と論理の区別を問う
(3) 教育を問う

【 第1編 】 現代武道修行者に説く論理修行の道

第1章 誇り高き武道修行を志す人に

(1) 現代の武道修行には論理能力の養成を
(2) わが基本重視一途の二十年
(3) 「学問の道」 と 「学問への道」 の論理
(4) 生命史観を通しての武道修行

第2章 思春期、青春初期認識・実体の論理構造

(1) 歴史性ある武道空手の学びを読者に
(2) 鉄のリーダー、旧制高等学校を語る
(3) 思春期認識・実体の論理構造再び
(4) 青春初期認識・実体の論理構造

第3章 新制・旧制中学生認識・教育を問う

(1) 「友よ語らん」 の論理解説
(2) 新制・旧制中学生認識の相違
(3) 新制・旧制中学校教育者の実力を問う

【 第2編 】 大学生に、「哲学と世界観」 を説く

第1章 獨協大学松丸壽雄、武道研究高岡秀夫両学究に

(1) 私の人生信条とは
(2) 認識論解説 ― 大学初級生に
(3) 認識論とは何か

第2章 哲学と世界観 ― 大学初級生に

(1) 哲学と世界観
(2) 西田哲学 『善の研究』 について
(3) 武道と世界観としての観念論
(4) 武道と世界観としての唯物論

第3章 弁証法と 「人間体・武道体」

(1) 弁証法とわが恩師三浦つとむ
(2) 拳の握りの認識・実体の構造1
(3) 拳の握りの認識・実体の構造2
(4) 「人間体・武道体」 拳の握りとは

【 第3編 】 大学初級生に、学的 「認識論」 の重要性を説く

第1章 学問としての認識論は武道・武技を極める

(1) 学的認識論はあらゆる認識的事実の論理的体系化である
(2) 学的認識論構築への歴史性ある遺産
(3) 認識論の構造を説く
(4) 学的認識論は武道・武技を極める

第2章 認識 (=感性) の力は社会的なものに育てよう

(1) 認識力=感性力は社会的に育つ
(2) 心理学が学問となるには
(3) わが武道空手合宿における講義
(4) 『武道と認識の理論1』 の 「序の序」 の理解をもう一度

第3章 実践家・評論家・理論家とは

(1) 実践家・評論家・理論家を問う
(2) 武道空手家の身体と武技の内実の構造
(3) 学的理論体系への過程的構造
(4) 若き武道理論家志望者へ

【 終の編 】 恩師の果たした弁証法、その高みと構造

■ 武道哲学講義 7

2012年 3月ゼミ合宿講義  ― ヘーゲル 『大論理学』 「序文」 を読む

【1】 ヘーゲル 『大論理学』 「序文」 を読む

(1) ヘーゲルの著書は弁証法的に読まなければならない
(2) アリストテレスはヘーゲルを通して学ばなければならない
(3) ヘーゲルが哲学を学問化しなければならないと説く中身とは
(4) ヘーゲルは 「思弁」 や 「形而上学」 は滅び去ったと慨く
(5) カントはベーコンの流れを汲む経験論にショックを受けた
(6) 教育界はカントの平易な教説を歓迎したとは
(7) ヘーゲルによる、研究者ニュートンへの批判を見る
(8) ヘーゲルが本当の 「思弁」 や 「形而上学」 の端緒につけたのはなぜか

【2】 「思弁とは何か」 「形而上学とは何か」 を説く

(1) ヘーゲルは経験論を取りいれたカントを批判する
(2) 「思弁」 「形而上学」 の理解には認識発展の歴史が必須である
(3) 形而上学とは事実の問題ではなく認識の観念化の問題である
(4) アリストテレスはすべての知見を集大成して形而上学を創ろうとした
(5) ヘーゲルは思弁力を養成して本物の形而上学を、との志だった
(6) 論理的思弁により全学問の体系化をなすものが論理学である

【3】 「経験論」 とカントの関係を説く

(1) 「経験論」 とは世界中のあらゆることを実践して分かっていくことである
(2) 経験についてベーコン、カント、ヘーゲルの見解
(3) カントの説く 「悟性」 とは何か

【4】 ヘーゲルの弁証法を説く

(1) ヘーゲルの 『精神現象学 序論』 執筆の意味
(2) ヘーゲル弁証法の特質は文体内に生成発展の実態を把持して説くことにある
(3) 学問の体系化のためには弁証法の実力をつけなければならない