『訪問看護の技術』―「在宅ケア」を支える看護の理論と実際
日野原重明 ・荻野文 著
本書は、「訪問看護」の初学者にとっては、きわめて実践的な「入門書」であり、また「訪問看護」の組織化を模索している病院や看護部門の人たちにとっては、たいへん明解な「指針書」である。
大正時代から訪問看護を実践してきた聖路加病院の、ベテランの医師と訪問看護婦が、その豊富な経験をもとに訪問の実際場面を具体的に語り合うなかで、実際の「訪問看護活動」のいきいきとしたイメージを鮮やかに描き出し、同時にきめこまかな「訪問の技術」のかずかずが伝えられる。
■ 現代社白鳳選書 1
■ 第2版/1988年/四六判/280頁
■ 定価 1,400円 (税別) ■ ISBN 978-4-87474-052-1
目次
■ 1.「訪問看護」の基本を語る
(1) どんな目的で、誰を訪問するのか
(2) 「寝たきり老人」と、その家族たち
(3) 病人の部屋と環境を観る
(4) 与えられた条件を受けとめる
(5) どこに坐るか、誰と会話するか
■ 2.基礎看護技術と処置の指導
(1) 「排泄」と「排泄の世話」をめぐって
(2) 「身体の清潔」<その1> ―清拭―
(3) 「身体の清潔」<その2> ―洗髪・整髪・足浴―
(4) 「褥瘡の予防」と「体位変換」をめぐって
(5) 「機能回復訓練」をめぐって
(6) 「特殊な看護処置」をめぐって
■ 3.入院治療から「在宅ケア」へ
(1) 「在宅ケア」と「訪問看護」の決定と導入
(2) 「在宅ケア」の不安と喜び
(3) 「訪問看護」の利点を活かす
■ 4.家族への支援と指導
(1) 家族の発想を支えて技術を伸ばす
(2) 家族みなの健康を看護して和をつくる
(3) 家族ぐるみのグループ指導を
(4) 看護に疲れた家族を支える
■ 5.みごとな「在宅ケア」 ―3つのケース―
(1) 老いても創め続けた ―心不全の高倉さん―
(2) 5匹のシャム猫たちと家族で療養 ―心不全のウイルスさん―
(3) 狭い家でも最期は家で ―肝硬変のラーメン屋さん―
■ 6.「訪問看護」をめぐるいくつかの問題
(1) 過度の「安静」は回復を妨げる
(2) 「痛み」の我慢を強いてはならない
(3) 病人の依存性 ―「接し方」と「距離のとり方」―
(4) 家庭での終末期看護をめぐって ―“あと何日保ちますか?”―
(5) 老人の事故とその予防 ―小さな事故でも致命的に―
(6) 老人性痴呆症 ―どこまで家庭で世話ができるか―
(7) 電話の活用は看護を展げる ―良い電話のかけ方の指導を―
(8) 地域の開業医師との連携を
(9) 老人の症状には複数の要因を
■ 7.「訪問看護」の制度と組織
■ 8.いま、なぜ「在宅ケア」と「訪問看護」なのか
■ 付録1 訪問看護、ひとつの事例
■ 付録2 在宅療養患者のアセスメント項目