『詩集 病者・花』―細川宏 遺稿詩集
細川宏 著 小川鼎三・中井準之助 編
本書は、惜しまれながら若くして永逝した医学者、故・細川宏博士(元 東京大学医学部教授・解剖学)が、2年間にわたる死への病床で綴った詩を編纂した遺稿集である。
癌との苦惨な戦いのなかで臨終の間際まで書きつづけられた詩の数々には、自分自身の苦痛を科学者として眺める冷静な眼が貫かれているが、そこにはまた、病床に届けられた花々に寄せるしなやかなまなざしと、最後まで失われることのなかったユーモアと他者への思いやりとが脈々と流れつづけている。
病者の世界を、病者の秘め持つ心象を、そして医のありようの根元を、最後の生命力を振り絞って語りかける、このあくまで真摯な著者の詩は、発売以来、各界で絶賛されつづけている。
■ 第1版/1977年/B6判/上製本/232頁
■ 定価 1,500円 (税別) ■ ISBN 978-4-87474-019-4
目次
■病者 -ペイシェント
■花さまざま
あじさい/アナナス/アマリリス/アフェランドラ/アンスリウム
えのきだけ/カーネーション/ガーベラ/かんぞうたけ/ききょう
きばなさくらそう/きんちゃくそう/グズマニア/グラジオラス
グロキシニア/くんしらん/サボテン/シクラメン/しゃくなげ
しゃくやく/シャスターデイジー/しゅんらん/すいれん
スイートサルタン/スイートピー/すかしゆり/すずらん
セントポーレア/ダーリア/チューリップ/つた/つつじ
てっせん/てっぽうゆり/トラデスカンチァ/なでしこ/はなあざみ
はなさふらん/はなしょうぶ/黄色いバラ/バラの新種
バラの表情/ヒヤシンス/フリージァ/ベゴニア/変葉木
やぐるまそう/らっぱすいせん/らん/れんぎょう
■胸の水
胸の水/心電図/子守唄を吹くチャルメラ/ひょうたん/名月
永遠/故郷の梅干し/ミロの画集をみて/海と漁/波/大福餅
ラッキョウ/無用と有用/注射/白い手/半酸素性動物
アンプリファイヤー/溶岩/記す/硝子戸の中/時の力
平和共存/いのちの尊厳と医学/熊/胸腔穿刺/執念/お尻
鼻の孔/廊下/垂直的振動/ガマ/喰らう/二つの態度
努力/理窟/病苦と心/戦闘/しなう心/わが身のために他ならず
人の世/入院以来100ヵ日/すきま風/おおみそか/しゃぼん玉
■最後の日記