『看護学原論 講義』

薄井坦子 著

本書は、千葉大学看護学部における著者の「看護学原論」の講義を系統立てて編纂したものである。

「看護学」の対象は看護実践そのものであり、看護実践の内部に目を転じてみれば、その対象は人間である。

著者は、看護者としてある個人に向かいあったとき、その人の健康状態がどれほど多くの自然的・社会的現象とつながっているか、またその時の状態がどういう状態から変化してきたのか、といった見つめ方を訓練しておくことの必要性を述べている。

そうして看護者としての対象のみつめ方が定まると、事実のもつ理論がみえてくるのである。

著者による「看護学原論」の講義は、著者が「学問とは何か?」をふまえて、自らの実践の中からたぐりとり構築した看護学を体系的に提示したものであり、対象の構造を見ぬく論理能力を鍛えるための学的訓練を主体として構成されている。

■ 改訂版/1994年/B5判/216頁
■ 定価 2,233円 (税別) ■ ISBN 978-4-87474-082-8

目次

■ 1.序論

(1) 「看護学」はあるのか?
(2) 人間科学一般における特殊学として
(3) なぜ看護教育制度の発達がおくれたか
(4) 人間のよりよい生存・生活のために
(5) 看護は専門職として教育されるべきもの
(6) 人間が人間をみつめるところから出発
(7) 目標を高くかかげて

■ 2.看護とは何か

(1) "Notes on Nursing"の構成
(2) "Notes on Nursing"の序文
(3) "Notes on Nursing"の序章

■ 3.看護婦とは何か

(1) 目的意識をもって観察すること、そして患者から学ぶこと
(2) 経験の意味するもの
(3) 自己を客観視し、意識的に鍛えること

■ 4.看護のための人間論

(1) よりくわしい「人間一般」を求めて
(2) 人間の「生活一般」
(3) 特殊な生活過程の理解

■ 5.看護のための方法論

(1) なぜ独自の方法論が必要か
(2) 目的論・対象論・方法論の関係
(3) 方法論の定式化

付録1 看護であるとはどういうことか…細貝しのぶ
付録2 自己の経験から看護の理論を探る試み…中村妙子